暗号資産(仮想通貨)イーサを企業が購入する実験が急速に破綻しつつある。
時価総額で世界2位の暗号資産であるイーサは4日、3400ドルを割り込んだ。ウォール街で広がった人工知能(AI)関連の熱狂が冷める中、仮想通貨市場の指標とされるビットコインやハイテク株が下落した流れが波及した。イーサは8月の高値から30%下落し、企業による購入と保有が相次いだ局面以前の水準に戻り、弱気相場入りが鮮明となった。
トム・リー氏
Photographer:Chris Goodney/ Bloomberg 調査会社10xリサーチによると、イーサの最大の企業支援者である
ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズは、相場反転で13億ドル(約2000億円)超の含み損を抱えている。富豪ピーター・ティール氏の支援を受け、ウォール街の著名ストラテジストであるトム・リー氏が率いる同社は、ビットコインに投資する米ストラテジー社を率いるマイケル・セイラー氏の手法を参考に、340万イーサを平均3909ドルで取得するという戦略を採用していた。現在、ビットマインの資金はほぼ全額が運用済みとなっており、同社は強まる圧力にさらされている。
10xリサーチはリポートで「数カ月にわたり、ビットマインが市場のテーマと流れを主導してきた。だが今や資金は使い切られ、13億ドル超の含み損を抱えたまま動けない」と指摘した。
リポートによると、ビットマイン株を純資産価値(NAV)に対してプレミアム水準で購入した個人投資家の痛手はさらに大きく、下落局面で株を買う動きは乏しいという。
ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの共同創業者で、ビットマインの会長も務めるリー氏はコメント要請に応じていない。ビットマインの担当者のコメントも得られていない。
ビットマインの投資は単なるバランスシート取引ではなかった。暗号資産を企業財務に組み込み、イーサを金融システムの中核に据えるという構想を体現したものだった。
この構想は夏場の相場上昇を後押しし、イーサは5000ドル近くまで上昇。7-8月にはイーサの上場投資信託(ETF)への資金流入が90億ドルを超えた。しかし10月10日の暗号資産価格急落以降、潮目は一変。コイングラスとブルームバーグ集計によれば、イーサのETFからその後8億5000万ドルが流出し、イーサ先物の建玉も160億ドル減少した。
リー氏は年内にイーサの価格が1万6000ドルに達すると予測していた。
原題:
Tom Lee’s Big Crypto Bet Buckles Under Mounting Market Strain(抜粋)
— 取材協力 Olga Kharif





