揺らぐドルの役割、トランプ政権の国際秩序再編で－通貨競争が過熱も

トランプ米大統領が「米国第一主義」に基づく国際経済秩序の再編を進める中で、第2次大戦後の米国の覇権を支えてきた基盤の一つ、国際準備通貨として誰もが認めるドルの役割が揺らぎつつある。
 Illustration:MarkHarrisforBloombergMarkets;Photos:GettyImages(3)　　バイデン前米政権は2022年のロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアのドルへのアクセスを制限し、ドルからの最初の分散を促した。
トランプ政権の4月の拙速な関税導入と方針転換は、ドルと米国債の同時下落というめったにない事態を引き起こした。
一部のドル悲観論者が予測する国際通貨秩序の完全崩壊といった劇的な動きとならないにせよ、結果的に生じる通貨間競争の過熱が実際に何を意味することになるか、米国人以外の人々は特に十分な備えができていない。
　国際通貨基金（ＩＭＦ）のアドバイザーの経験を持ち、現在はアトランティック・カウンシルのジオエコノミクス（地経学）センターでシニアディレクターを務めるジョシュ・リプスキー氏は「自国通貨が準備資産であるということは、米国民と連邦政府の低コストでの借り入れを意味するだけでなく、米国の外交政策目標に沿った経済政策の実行に向け、金融システムで米政策担当者の透明性が増すことを意味している。」