ゴールドマン・サックス・グループでマネジングディレクターだったジョセフ・サンバーグ氏は、気候変動が不動産市場を根底から覆すという考えに自身のキャリアを賭けている。
同氏は2022年後半から投資家トム・ステイヤー氏と共に、地球温暖化の中で不動産が直面する課題を巡り戦略を構築してきた。
ステイヤー氏の投資会社
ガルバナイズ・クライメート・ソリューションズの創業者兼不動産部門責任者として、サンバーグ氏は不動産を買い取り、そうした物件を気候変動に対応できるよう取り組んでいる。
同氏はインタビューで、「商業用不動産で利益を上げる最大のチャンスだと確信している」と述べ、それが「ゴールドマンに残らなかった理由」であり、「私のキャリアを賭けた理由」でもあると説明した。
不動産市場、特にオフィス部門は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)終息後、激動の数年を過ごしてきた。金利上昇と入居率のばらつきが重なり、多くの不動産オーナーは生き残りに苦しみ、評価損の波が押し寄せた。
気候変動は今、不動産市場にとって新たなリスクの連鎖を意味し、不動産オーナーもその影響に対する備えができていないことに気付き始めている。
バイデン政権は4月、住宅・商業ビルの脱炭素化に関する米国初の国家計画を発表。欧州で建築物のエネルギー性能に関する指令の改正が承認されたタイミングと重なった。
こうした政策の変化を受けて、不動産投資家たちは、自分たちが「座礁資産」の大規模なポートフォリオを保有していることを認識しつつある。
商業用不動産ファンド、「座礁資産」抱える-新エネルギー要件の下
フロリダは度重なる異常気象への対応に苦慮している
Source: Bloomberg テキサス州に本社を置き、インフラコンサルティングを提供する
エーイーコムで、欧州とインドの「ネットゼロ」担当責任者を務めるヘレナ・リバーズ氏によると、米国の投資家は欧州の投資家よりもビルの緑化に資本を投下する意欲を示している。
米国ではそれが「財政的に意味のあることになる」と投資家が理解しているため、「ただひたすら取り組む」が、欧州ではエネルギー効率に関する指令が欧州連合(EU)全域で適用される前に投資家が「先んじて熱心に取り組み始めることに消極的」だという。EU加盟国にはこの指令の要求事項を展開するため、約2年の猶予が与えられている。
稼げるビジネス
サンバーグ氏によれば、不動産の環境対策に関心があるのは、対応を進めれば稼げるビジネスになるという確信に基づいているためだ。
「私は不動産投資家であり、気候変動を訴える伝動者ではない。投資家が重視するのは資本主義だけであり、利益の積み増しと差別化が重要であることを学ばず、ゴールドマン・サックスで15年過ごしたわけではない」と語った。
対照的に保険業界は異常気象リスクにさらされる不動産から撤退しており、銀行も地球温暖化の物理的な影響により価値が下がる公算が大きい不動産への融資を再考し始めている。投資家は今こそ、こうした動きを先取りする時だとサンバーグ氏は言う。
ガルバナイズは6月、「エネルギー効率の最適化と再生可能エネルギーの発電、資産価値の向上」を目的として同社2件目の不動産買収を行った。ニュージャージー州の工業用不動産「ワン・ゲートウェイ・ブールバード」は、ガルバナイズが脱炭素化に投資する「トラディショナルな付加価値戦略」の一部を形成するとしている。
サンバーグ氏は、「今日の不動産市場とサステナビリティー(持続可能性)市場には巨大なチャンス」があるとし、「大規模かつ急速に拡大したい」と明らかにした。
ガルバナイズの投資対象は現在、ニューヨークやニュージャージー、カリフォルニア、メリーランド、マサチューセッツが中心。「これらの一流市場に多くの果実が低く垂れ下がっている」と同氏は話した。
原題:
米不動産、建物のトランジションは「巨大な市場」-排出ルール強化で
商業用不動産関連ポートフォリオの新たなリスク、一部銀行が対応開始
原題:Ex-Goldman Banker Plans to ‘Massively’ Scale Steyer Venture (1) (抜粋)
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