自民党総裁選が22日告示され、5人が立候補した。10月4日の投開票に向け、前回上位につけた高市早苗前経済安全保障担当相と小泉進次郎農相を軸に党の再出発をかけて論戦を展開する。
高市早苗氏(9月19日)
Source: AFP 石破茂首相の辞任表明に伴って実施される今回の総裁選に名乗りを上げたのは高市、小泉両氏のほか、茂木敏充前幹事長、小林鷹之元経済安全保障担当相、林芳正官房長官の計5人。午後に所見発表演説会、23日には共同記者会見や討論会に臨む。
大敗した参院選で与党が掲げた現金給付や野党が訴えた減税への姿勢など物価高対策、連立拡大を含めた野党との連携の在り方が争点となる。農業政策や防災庁など現政権が進めた政策の進め方を巡っても論戦が交わされそうだ。市場では年内利上げを模索する日本銀行の金融政策への発言も注目されている。
22日の
債券相場は下落しており、5年債と10年債の利回りはそれぞれ2008年以来の高水準に上昇。
株式相場は上昇した。円相場は午後0時30分現在、1ドル=148円台前半で推移している。
関連記事:
自民総裁選は物価高対策が争点、一律給付は実現困難に-候補者横顔
現実路線
小泉進次郎農相(7月)
Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg 立候補する5人はいずれも昨年に続いての挑戦だ。党所属国会議員の295票と同数に換算した党員・党友票の計590票を争う。前回は約70万の有効党員票のうち石破氏と高市氏がそれぞれ約20万票、小泉氏が約12万票を他の候補者を大きく引き離して確保した。議員票では小泉氏が最多の75票、高市氏が72票、石破氏が46票を得た。
総裁選挙管理委員会が21日発表した党員投票の選挙人数は約91万6000人で前回から約14万人減った。
石破首相が前回獲得した票の行方も鍵となる。保守的な言動と積極財政派として知られる高市氏と昨年は規制改革とリベラルな政策を掲げていた小泉氏。先週の出馬会見で従来の主張を封印し、より現実路線にシフトしている。幅広い支持を得る狙いがある。
高市氏は参院選前の5月、食料品への消費税率(8%)を0%に引き下げるべきだとしていたが、総裁選公約には盛り込まなかった。19日の会見ではレジの対応などで実現には時間がかかり、「今の物価高対策として即効性はない」と語った。日銀の利上げには昨年9月の時点で批判的な発言をしたが、出馬会見では触れなかった。
一方の小泉氏も前回主張した解雇規制改革や保守層から反発を受けた選択的夫婦別姓を導入するための法案提出を公約から外した。前回出馬した加藤勝信財務相、河野太郎前デジタル相は小泉氏支持に回る。
野党との連携
前回の総裁選が行われた昨年9月と異なり、連立与党の議席数は衆参両院で過半数を下回っている。安定した政権運営を行うため、立候補予定者から記者会見などで連立の枠組み拡大など野党との連携強化を目指す発言が相次いでいる。
茂木氏は「新しい連立の枠組みを追求し力強い政権基盤を固める」とし、日本維新の会や国民民主党を選択肢に挙げた。高市氏は「基本政策が合致する野党とできれば連立政権を組む」考えを示した。また、小泉氏は「野党に幅広く政策協議を呼びかけ、与野党合意を模索する」としている。
野党との政策協議を意識した政策も目立つ。高市、小泉両氏らは野党各党が求めているガソリン暫定税率の廃止や、国民民主が特に重視する基礎控除の在り方など所得税制の見直しを行う方針を打ち出した。
高市氏は、公約で減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度設計着手、首都の危機管理機能のバックアップ体制構築を明記した。給付付き税額控除は、与党と立憲民主党が協議体設置で合意している。首都の危機管理機能への問題意識は、維新が提唱する副首都構想につながる発想だ。
早期の解散を否定
昨年の総裁選で当選した石破氏は首相就任から8日後に衆院を解散したが、今回は各候補から慎重な意見が出ている。
高市氏は22日、「日本をしっかりと強い経済、強い国土を持った国にしたい。そのための経済成長を訴えていく」と記者団に語った。物価高対策を最優先で取り組む姿勢を示した。首相に就任した場合の早期の衆院解散については「考えられないことだ」と否定した。
早期解散に関しては小泉氏も21日、否定したと共同通信が報じた。同氏は22日も衆参両院で与党が過半数を失い、昨年とは「全く状況が違う」との見方を記者団に示した。国民は一日も早い物価高対策を求めていることを忘れてはならないと語った。
朝日新聞が20、21両日に実施した世論調査によると、新しい自民総裁に誰がふさわしいかとの問いに高市氏が28%でトップ、小泉氏が24%で続いた。自民支持層に限ると小泉氏が41%、高市氏が24%だった。
関連記事
自民・高市氏、「責任ある積極財政」で強い経済構築-総裁選出馬会見
小泉農相、物価高対策で補正予算- 政府・日銀は成長へ共同歩調を
日本で初の女性首相は誕生するのか、高市氏が自民総裁選3度目の挑戦
— 取材協力 Erica Yokoyama, Hidenori Yamanaka and Toshiro Hasegawa
(高市、小泉両氏の発言などを追加し、更新しました)





