欧州中央銀行(ECB)当局者は、欧州の弱い経済を浮揚させるには利下げが必要だという点では一致している。しかし、金利引き下げが実際にどの程度効果があるかについては、激しい議論が繰り広げられている。
一部の当局者は、個人消費と企業の投資を促すために、金利の迅速な引き下げを主張。一方で、エネルギーコスト高騰や熟練労働者の不足といった問題は金融政策の管轄外だと考える慎重派もいる。
どちらの意見が優勢となるかが、ECBの利下げの終着点を左右するだろう。12日は今年4回目の0.25ポイント利下げが見込まれている。
ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「現在の景気低迷がどの程度循環的なものでどの程度構造的なものなのかについて、政策委員会の見解が分かれている」と述べた。
「この議論は、中立金利を下回る水準まで利下げをするかどうかを決定する上で極めて重要になる。実際には循環的と構造的の混合であり、ECBが果たすべき役割はある。しかし、金利引き下げは経済にとって万能薬ではない」と解説した。
Euro-Area Economy Expanded 0.4% in Third Quarter
Source: Eurostat
イタリア中銀のパネッタ総裁は、迅速な金融緩和の最も熱心な支持者であり、景気拡張的領域に踏み入る可能性を排除していない。
「現在の局面では、実体経済の低迷に、より注目すべきだ」と先月語り、需要低迷がインフレ率を目標の2%より低い水準まで押し下げる可能性があると警告した。
シュナーベル理事(11月26日)
Photographer: Alex Kraus/Bloomberg
しかし、シュナーベル理事のようなタカ派の当局者たちは、構造的な問題に対処する場合、金利引き下げは効果的ではないかもしれないと警告する。
生産性の低さ、競争力の低下、人口動態、金融統合の欠如など、ユーロ圏の構造的弱点は多い。
「企業が金融政策以外の理由で投資を行わない場合、中立金利を下回る水準まで金利を引き下げても、投資は増えない可能性がある」とシュナーベル氏は11月にブルームバーグに語った。投資が増えるためには構造政策が必要だと論じた。
さらに、フィンランド中銀のレーン総裁は、構造的と循環的の区別は「決して明確ではない」と主張する。
「欧州の長期的な成長と競争力の課題が金融政策の手段では解決できないとしても、投資は多くの要因によって左右され、その要因には総需要も含まれることは明らかだ。総需要は金融環境の影響を明らかに受ける」と説明した。
ECB Seen Cutting Rates Faster
Source: Bloomberg surveys of economists conducted Oct. 4-9 and Nov. 29 to Dec. 4
ブルームバーグが調査したエコノミストは、政策金利は成長を抑制も刺激もしない中立水準と見なされる2%まで下がると予想。市場はそれよりも0.25ポイントほど低い水準で落ち着くと見込んでいる。
現在3.25%の預金預金金利が中立金利を下回る水準まで引き下げられるかどうかは、恐らく最も論争を呼ぶ問題だ。パネッタ氏と同様に、フランス中銀のビルロワドガロー総裁も11月に「成長が低迷し、インフレ率が目標を下回るリスクがある場合には、将来的にそれを除外しない」と述べた。
しかし、ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は、インフレ率が近い将来に2%を下回り景気拡張的な政策が必要となる「重大なリスク」は現在見られないとの認識を示している
今後数カ月にわたって繰り広げられることになるであろう議論で、ほとんどのエコノミストの考えは、循環的および構造的な課題の組み合わせと金融政策の限界を強調する当局者に近い。
PGIMフィクスト・インカムの欧州チーフエコノミスト、キャサリン・ナイス氏は、「利下げは、構造的な問題を魔法のようにすべて解決するものではない。構造改革や補完的な財政政策と併せて行う必要がある。つまり、統一された一貫性のある政策パッケージが必要なのだ」と語った。
原題:
ECB Officials to Lock Horns Over How Much Cuts Can Boost Economy(抜粋)







