米国のトランプ大統領が世界の貿易秩序を
塗り替えようとする中、ユーロは予想外に勝者となりつつある。
トランプ氏が2日に相互関税を発表した後、ユーロは、3日に2015年以来の日中上げ幅を記録するなど、対ドルで6カ月ぶりの高値をつけた。シティグループのストラテジストらはユーロのターゲット値を上方修正し、1年先までのオプションのセンチメントは、4年ぶりの強気に転換した。
関税への懸念により欧州中央銀行(ECB)が積極的に利下げを行い、ユーロが対ドルで
パリティー(等価)に達すると多くの市場関係者が見込んでいた2カ月前と、状況は打って変わった。今や、投資家はトランプ氏の政策が米経済を損なうリスクを懸念し、ここ数年続けてきたドル資産への大幅な資金注入を逆流させつつある。こうした懸念から、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は3日、過去最大の下落となった。
短期金融市場はECBの年内の追加緩和を織り込んでいるが、米連邦準備制度理事会(FRB)よりは利下げは少ないとみている。予想では、ECBが25ベーシスポイント(1bp=0.01%)の利下げ3回に対し、米当局は4回となっている。スイスのピクテ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「米国の景気後退リスクの上昇は、金融当局に積極的な利下げを促すことになる。私たちのモデル上では、ドルは15%も過大評価されたままだ」と述べた。
ユーロは、ドイツが2月に防衛やインフラ投資に積極的な支出する方針に転換した頃から好転し始めた。欧州でのこうした支出増が、関税のショックから域内経済を守る役割を果たすとの期待がある。
この変化は通貨オプションでも見られる。投資家はユーロ高を予想し、さらなる上昇に向けヘッジしている。ユーロを買う権利を付与するコール・オプションの1年先物の需要は、2021年以来初めてプットを上回った。
ユーロの上昇は、トランプ氏の「米国第一主義」の通商政策が米国経済や同国市場の見通しを圧迫していることを受け、広い範囲で米国離れが進んでいることの表れだ。3日発表の統計では、米国の
失業手当の申請件数が21年11月以来の高水準に達した。
一方で、ユーロ急騰の反動を警戒する向きもある。欧州連合(EU)は加盟国の合意に基づき意思決定する仕組みで、しばしば議論が滞ることがあるため、経済を守る対策を効率よく打ち出せるかという懸念もある。
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とはいえ、仮に欧州の政策対応が行きづまったとしても、米国の意思決定にも疑問が残る。関税率を定めた米国の
算出方法は経済学者や他国を驚かせ、投資家からの精査の的となっている。ドイツ銀行は、ドルの信頼性危機の可能性を
警告した。
ブラウン・ブラザース・ハリマン(BBH)のストラテジスト、ウィン・シン氏は「疑問が残る関税の計算方法といい、現状のドルの弱さは、米国の政策当局者に対する信頼低下によるものではないかとみている。もしそうなら、米国の統計数値がどうであれ、信頼を取り戻すのは非常に難しくなる」と指摘した。
原題:
Euro Emerges as Unlikely Winner From Trump’s Trade Tariff Shock(抜粋)







