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2025/07/10 米国最新経済動向――貿易摩擦、エネルギー政策、企業買収の潮流

昨日までに発表された米国経済ニュースの中から、特に注目すべき5つのトピックスを紹介します。大手製薬による大型買収、再生可能エネルギー政策の大転換、相次ぐ貿易政策の強化とそれに伴う市場の動揺――いずれも、今後の日本経済や政策形成にも示唆の多い事例です。各段落ではニュースの要点と、数字や各分野への影響も交えて解説します。

2025/07/09 メルク社、COPD薬開発ベロナ・ファーマを1兆6000億円規模で買収

メルクがCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬の開発で知られるベロナ・ファーマを100億ドル(約1兆6000億円)の企業価値で買収することを発表し、両社の株価が大きく反応しました。米国だけでも1170万人が同疾患を抱えている現実からも、新薬Ohtuvayreの市場規模は極めて大きく、直近1四半期の売上は7130万ドルと前年同期比95%増、今後も2桁超の成長が期待されます。メルクはこの買収により心肺系疾患領域のポートフォリオ拡充を図りますが、ベロナCEOもメルクの販売網・臨床力を生かすことで新薬の普及促進、患者拡大が見込めると述べています。(出典:Merck Plots $10 Billion Takeover Of COPD Drugmaker Verona Pharma)

2025/07/08 トランプ政権、グリーンエネルギー補助金を打ち切り。再エネ株が急落

トランプ大統領は大統領令を発出し、風力・太陽光発電など再生可能エネルギーへの各種補助制度を撤廃しました。エネルギー省の報告書によれば、2030年までに老朽火力の大量廃止が進む一方、一定出力(ファームキャパシティ)を持つ新設発電所が大幅に不足する恐れがあり、AIやデータセンター需要増から安定供給リスクが高まっています。また、モルガン・スタンレーなどはAESやNextEraなどの電力株への影響を指摘し、各社の株価は一時4〜7%下落しました。特に税控除適用基準の厳格化や外資調達チェーン見直しが今後の業界再編を促進する可能性があります。(出典:Solar Stocks Dive After Trump Orders End To Green Energy Subsidies)

2025/07/08 米国企業業績に「トランプ関税」の影響が本格化。消費者コストへの波及も

ゴールドマン・サックスは、企業決算(第2四半期)において今後、トランプ政権の関税政策の影響が本格的に現れると指摘しています。現行の平均関税率は10ポイント増の13%に達し、今後はさらに4ポイント程度上昇と予想。業界毎の影響度合いでは関税コストの70%を最終的に消費者が価格転嫁で負担するという予測もあります。一方、消費者物価への波及の程度やタイミングは不透明で、S&P500企業全体では今期の一株利益成長率が前期12%増→今期4%増に減速見込みです。とはいえ、年末のS&P500指数目標引き上げや需要見通しは底堅いとの見方も根強く、金融政策や賃金動向にも引き続き注目が集まっています。(出典:Trump Tariffs Set To Reflect In Q2 Earnings; Consumers Next In Line)

2025/07/07 日韓などへの関税圧力強化。S&P500は急落も投資家は冷静に対応

トランプ大統領は日本、韓国をはじめとする16カ国に対し輸入品への25%以上の関税を警告する書簡を送付しました。日本の対米自動車輸出台数は年間130万台超、韓国は140万台と大きく、両国の経常黒字やサプライチェーンへの直接的影響が懸念されます。実際、発表を受けてS&P500は1%近く下落しましたが、欧州や中国との包括的交渉姿勢を背景に、市場は直ちに景気後退リスクへは傾いていません。一方、ベトナム経由の中国製品にも最大40%の関税が課される見込みで、今後はグローバルなサプライチェーン再構築が波及的に進みそうです。(出典:Trump Tariff Letters Fire Shots At Japan, South Korea And More; S&P 500 Slides)

2025/07/07 米中ベトナムを巡る貿易協議・関税再編の行方

日韓以外にも、マレーシアやタイを含むアジア・中東・アフリカ諸国に最大40%関税が課される可能性も出ています。とりわけ、ベトナム経由での中国製品迂回輸入に関しては新たな監視強化と関税上乗せが決定的になりつつあり、世界的な供給網が大きく再編される転機にあります。UBSなどは米国の成長率鈍化やインフレ圧力は上昇するものの、現時点でリセッションには至らないと分析。米国内では新たな財政刺激策(One Big Beautiful Bill Act等)も議論されており、これが貿易環境の変化による打撃を部分的に相殺する見通しです。(出典:Trump Tariff Letters Fire Shots At Japan, South Korea And More; S&P 500 Slides)

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