オーストラリアの金融大手
マッコーリー・グループは、かねてから「ミリオネア製造工場」と称され、アジア全域の競合他社に比べ経営幹部やディールメーカーへの報酬が高いことで知られてきた。元コモディティー部門責任者のニック・オケイン氏は、昨年退社するまでJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOを上回る報酬を得ていたことで注目を集めた。
しかし、リスク管理上の不備や海外での問題を受け、高額報酬制度に疑問符が付いた。マッコーリーは現在、国内および米国、英国、オーストラリアの規制当局からの厳しい監視にさらされており、その結果として数億ドル規模の制裁金を科される可能性がある。経営陣に対する説明責任を求める声が投資家の間で強まっている。
24日の年次株主総会では、複数の国内大手年金基金を含む株主の4分の1超が、取締役会が提示した経営陣報酬案に反対票を投じた。
マッコーリー株の約0.8%を保有する年金基金HESTAのトップ、デビー・ブレイキー氏は「コンプライアンス(法令順守)を巡る問題が、社内の利益配分にどのような影響を与えたのかについて、より高い透明性を求める」と述べ、「そうすれば、指摘された問題に対して同社が真剣に取り組んでいるという信頼が高まるだろう」と付け加えた。
24日の株主総会に出席した最高財務責任者(CFO)と最高経営責任者(CEO)
Photograph: Lisa Maree Williams/Bloomberg
グレン・スティーブンス氏
Photographer: Brent Lewin/Bloomberg 経営陣が近年の不祥事に対して十分な報酬カットを行ってこなかったとの年次株主総会での批判に対し、グレン・スティーブンス会長は「問題を発見し、責任を認め、是正に向けて動いてきた」と反論。市場監督当局による訴訟を受け、今後数カ月でボーナス抑制に向けたさらなる対応を検討する可能性があると説明した。
シェマラ・ウィクラマナヤケ最高経営責任者(CEO)の3月31日までの通期報酬は一部削減されたものの、そのほかの9人の経営幹部にはほとんど影響がなかった。9人の報酬総額は1億オーストラリア・ドル(約96億円)超にのぼり、固定報酬に加えて業績連動型の株式やボーナスを含んでいる。
ウーロンゴン大学で金融サービスにおけるコンダクトリスクを研究するアンディ・シュムロー准教授は「マッコーリーの取締役会と経営陣は、長年にわたり問題に対し目をつぶってきた。あまりに多くの利益を上げていたため、誰もそれを止められなかった」と指摘した。
5月に提起された訴訟では、14年以上にわたり数百万件の空売りについて誤報告したとされ、最大7億8300万豪ドルの制裁金が科される可能性がある。国外でも、ドイツや米国で問題に直面している。
株主の反対意見は「報酬と業績の整合性に関する継続的な懸念、および透明性と説明責任への期待を反映している」と、オーストラリア株主協会CEOのレイチェル・ウォーターハウス氏は述べた。
ブルームバーグの取材に応じた投資家、アナリスト、現・元従業員は、バンカーへの指導を強化し、過去の成長勢いを回復できることを示すようウィクラマナヤケ氏に求める圧力が高まっていると話した。
原題:
Macquarie ‘Millionaires Factory’ Put at Risk by Investor Revolt(抜粋)





