イングランド銀行(英中央銀行)のブリーデン副総裁は9月30日、カーディフ・ビジネス・スクールでの講演で、金利を高水準に長く維持し過ぎることが経済に脅威をもたらすと警告した。その数時間前には、金融政策委員会(MPC)のマン委員が当局が想定していた「粘着的なインフレ」のシナリオが、現実になりつつあると発言しており、中銀内の見解の相違が改めて浮き彫りになった。
ブリーデン氏は、新たなインフレ上昇を抑え込むため、借り入れコストを抑制的な水準に据え置くことは、逆方向のリスクを伴うと述べた。家計のインフレ期待上昇など、物価を押し上げかねないいくつかの要因については過小評価する姿勢を見せた。ただ、11月の次回MPC会合で利下げが必要かどうかについては言及しなかった。
一方、マン氏は英紙フィナンシャル・タイムズ主催のイベントで、「私は、インフレ持続のシナリオが現実化していると考えている。だからといって、利下げはまったく視野にないという意味ではない。我々が評価しなければならないもう一つの要因、すなわち経済の実体面、特に消費者の状況が当然あるからだ」と語った。
両氏の発言は、目標の2%のほぼ2倍の水準に高まったインフレ率に、イングランド銀がどう対処すべきかを巡る同中銀内部の溝の深さを示している。8月に利下げを決定した際も、支持と不支持は僅差だった。ブリーデン氏はこの利下げを支持し、マン氏は据え置きに投票した。市場は、年末までの追加利下げの観測を縮小している。
イングランド銀の政策委員らは、労働市場の弱さや低調な経済環境と、高止まりする賃金上昇や食品価格高騰に伴う家計の物価期待の上昇のバランスを見極めようとしている。
ブリーデン氏は「明確にディスインフレを確認するまで、政策を緩めずにおこうと考えるのは、魅力的に思えるかもしれない。ただ、政策を過度に長く厳格に維持すれば、生産や雇用にコストがかかり、結果的にインフレ率が目標を下回ることにつながりかねない」と主張した。
同氏は、基調的なインフレ指標の緩和は「順調に進んでいる」として、足元で見られる総合インフレ率の上振れについて、「中央シナリオとしては、この『コブ』は道中のちょっとした凸凹にすぎない」との見方を示した。
イングランド銀行金融政策委員会のマン委員
Photographer: Hollie Adams/Bloomberg イングランド銀の中でもタカ派とされるマン氏は、家計のインフレ期待の上昇について、イングランド銀は「さらに多くの取り組みをしなければならないかもしれない」と示唆した。
消費者のインフレ期待が2年ぶりの高水準に上昇したことで、政策当局者の間では、当局がコントロールを失いつつあるとの懸念が高まっている。特に食品価格の上昇は、消費者の目に付きやすく、深刻な懸念材料となっている。
マン氏は「一度インフレ期待が2%目標からかい離し始め、そして実際に離れると、政策当局者としてはさらに多くの対応を迫られる」と指摘した。また、「目立つ商品の非常に高いインフレ率がインフレ期待の形成過程に持ち込まれると、問題が生じる」とも述べた。
原題:
Breeden Warns of Threat from High Rates as Splits on BOE Exposed (抜粋)
— 取材協力 Greg Ritchie





