日本銀行が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の景況感は前回調査から横ばいとなり、非製造業は改善した。景気の回復基調を裏付ける内容で、追加利上げの時期を探る日銀にとってプラス材料となりそうだ。
大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス13。市場予想のプラス12を上回った。先行きはプラス14と改善が見込まれている。一方、大企業非製造業の業況判断DIはプラス34と2四半期ぶりに改善。市場予想のプラス32を上回った。先行きはプラス28と悪化する見通し。
企業のインフレ期待を示す「企業の物価見通し」は、企業が想定する消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が平均で1年後が2.4%、3年後は2.3%、5年後は2.2%。いずれも前回調査から変わらず、日銀の2%物価目標を上回る状況が続いている。
日銀の7月の追加利上げと米連邦準備制度理事会(FRB)の9月の利下げを背景に、6月調査に比べて大きく円安修正が進んだ。米国や中国など海外経済の不透明感の強まりもあり、企業の業況感や価格転嫁、事業計画などへの影響が注目されていた。日銀が想定する緩やかな景気回復とおおむね整合的な結果となり、見通しに沿って経済・物価が推移すれば利上げを続ける方針をサポートする結果となった。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、今回の注目は物価の見通しだったとした上で、「下方修正されていれば利上げの時期が少し後ずれする可能性もあった」と指摘。期待インフレ率が下がっていると日銀としては利上げをしづらいが、「それが維持されてるから、利上げの障害は今のところないということだと思う」と語った。
ブルームバーグが9月上旬に実施した調査によると、エコノミストの9割近くが来年1月までに追加利上げを行うと予想している。
日銀の次回利上げ、エコノミストの半数以上が12月予想-サーベイ
円相場は7月3日に付けた約38年ぶりの安値1ドル=161円95銭から、足元では144円付近と円安修正が進んでいる。日銀は2%の物価安定目標の実現が展望できるとして利上げ継続方針を堅持しているが、植田和男総裁は政策維持を決めた9月会合後の会見で、政策判断に「時間的な余裕はある」と発言した。石破茂新政権の経済政策にも市場の関心が集まっている。
全規模・全産業の2024年度下期の想定為替レートは、ドル・円が144円31銭と、前回調査の144円59銭から円高方向に見直されている。
大企業製造業の業況判断の内訳では、電気機械や造船・重機等が改善した一方、石油・石炭製品、木材・木製品は悪化した。非製造業では、小売り、建設で改善が見られた一方、対個人サービスや通信が振るわなかった。
日銀の説明
業況判断は、製造業は海外事業が伸び悩む一方、IT関連需要が回復傾向。コストに関しては、これまでの原材料高を指摘する向きがある一方、足元で一服しているとの回答も非製造業では価格転嫁の進展を背景に幅広い業種で改善。猛暑や災害の影響については、小売りなどで販売が堅調になったと回答がある一方、レジャーなどで不振に
先行きは、大企業・製造業で引き続き海外事業の伸び悩みを懸念する声がある一方、IT需要と自動車生産の回復への期待が聞かれた非製造業では引き続き原材料・エネルギーコスト高、人件費上昇に対する懸念が聞かれた
調査期間中の円高の影響に関しては、原材料価格高騰の一服を評価する声と、円建てで見た場合の輸出価格の低下を懸念する先の綱引き
雇用人員判断、大企業・製造業のマイナス19はコロナ前のボトムだった18年12月調査と同水準。中小企業・非製造業のマイナス47は過去最低水準
回収基準日は9月11日、それまでに約7割強を回収
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(チャートとエコノミストコメントを追加して更新しました)
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