「ゾンビ」企業つぶさず-中国指導部、国民の反発恐れ雇用維持優先
記事を要約すると以下のとおり。
中国北西部にある創業69年の酒造所では、十数人の作業員が「白酒」と呼ばれる中国で最も人気のある蒸留酒の瓶に、手作業でラベルを貼っている。 陜西秦洋の肖玉祥会長の娘でマーケティングを担当する肖メイカン氏(35)は 「工場を閉鎖すれば、従業員は収入を失い、年金も受け取れなくなる。」 中国は1990年代、非効率な企業を多数閉鎖し、数千万人の労働者を解雇するという厳しい措置を通じて、世界一の製造大国へと急成長する土台を築いた。 長引く不動産危機で消費者心理も冷え込み、物価が下落する中、消費者の節約志向は強まっている。陜西秦洋長生酒業Photographer:QilaiShen/Bloomberg 中国共産党指導部は、失業による社会不安の回避と、過剰生産による国内デフレと欧米や中南米諸国の反ダンピング(不当廉売)関税を引き起こしている非効率企業の淘汰(とうた)という相反する課題に直面している。瓶詰め作業Photographer:QilaiShen/Bloomberg 関税を巡る習近平党総書記(国家主席)とトランプ米大統領の対立も状況を悪化させている。この割合は米国の2倍以上だ。過剰生産の是正が必要との認識を示している。習氏と李強首相は今年3月、インターネット上のスラングで「内巻」と呼ばれる過当競争の解消を誓った。中国の官僚は自らの管轄地域の経済成長で評価され、投資誘致が成果を上げやすい手段となっている。 中国国内に現在どれほどのゾンビ企業が集中する地域として深刻さを浮き彫りにしている。24年には工業企業の約4割が赤字を計上し、インフラや不動産から新エネルギー分野への投資シフトを進めている。 しかし、トラックメーカーの大運汽車は、そうした方針の犠牲になっている。 「中国経済の悲しい現実だと語るのは、20年前に大運で営業職として働いていたチャオ・シンチョン氏(47)だ。」 山西省は内陸に位置し、部品のサプライチェーンも未成熟で、製造に向いていないという。 大運は20年、EV事業を強化するための資金調達のため新規株式公開(IPO)を目指した。 また、ハイテク企業として認定されたことで、利益の2割相当に達したことも公的通知で示されている。約140のEVブランドのうち、30年までに黒字化できるのは20未満とコンサルティング会社アリックスパートナーズは予測している。 地元住民にとって、大運の倒産は考えられない事態だ。 大運と運城市政府は、複数回のインタビュー要請に応じなかった。いったん破産が認められると、担当裁判官は社会秩序の維持に対して個人的責任を負うためだ。昨年は裁判所のうち、こうした専門の裁判所が処理した破産案件数は20年比で3倍に増加した。過剰生産業界に対して生産枠の割当制を導入し、その枠を他社に売却可能とすることで、企業に市場からの退出の動機を与えるという。肖玉祥氏Photographer:QilaiShen/Bloomberg しかし、肖氏もまた、当局のより積極的な関与を求めている。「経済の改善は恐らく、決意のタイミングと力強さ次第」だとしている。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 「ゾンビ」企業つぶさず-中国指導部、国民の反発恐れ雇用維持優先