ハイテク株の上昇が米株市場全体を牽引する。10年近く続いた構図は今年、崩れ去った。S&P500種株価指数はトランプ大統領の不安定な通商政策に揺さぶられた後、年初来プラス圏に回復した。一方でアップルやアルファベット、
アマゾン、
テスラなどの「マグニフィセントセブン」は依然低迷している。この状況が年末まで続けば、S&P500種株価指数をアンダーパフォームし、過去10年間で2度目のめずらしい現象となる。
昨年はテクノロジーと通信株が35%余り上昇し、S&P500種の23%上昇をしのぐ驚異的な好調だったが、今年は鉱工業や公益、金融といった出遅れセクターにリーダー役を奪われている。2025年も後半入りを控え、大型ハイテク株が再び市場をリードできるかどうかは、投資家にとって重大な問題だ。
RGAインベストメンツのリック・ガードナー最高投資責任者(CIO)は、「米経済を話題にするなら、テクノロジー株の話題は分けられない。そこには実に明るい話がある」と語る。同氏は過去1カ月、顧客のために大型ハイテク株に買いを入れたという。トランプ氏が仕掛けた貿易戦争で不確実性が深まったことを理由に、株式のポジションを削減していた他の投資家も、市場に戻り始めている。ゴールドマン・サックスによると、13日にはヘッジファンドのテクノロジー株買い越しが4月9日以来の規模となった。
一方、大型ハイテク株は過去数年で急騰してきただけに、下落余地も大きいとの警戒がある。モルガン・スタンレーのリサ・シャレットCIOは16日、ブルームバーグ・サーベイランスとのインタビューで「この辺りで足踏みするだろう」と述べ、「数字を正当化するのは難しい」と語った。また「世紀の空売り」で知られるマイケル・バーリ氏は、エヌビディアの株価下落で利益が得られるプットオプションを取得したことを報告している。ただし「報告対象外のロング(買い持ち)ポジションに対するヘッジとしての役割を果たす可能性がある」という。
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マグニフィセントセブンが再びS&P500種株価指数をアウトパフォームした場合、市場全体がどう反応するかは注目点だ。S&P500種時価総額のうち、マグニフィセントセブンは約3分の1を占める。ガードナー氏は「過去最高値の更新もあり得る」と述べ、「今の米テクノロジー産業とイノベーションに賭けない側に立つのは、避けたいところだ」と語った。実際のところ、S&P500種株価指数は4月の底打ち以来、20%上昇したが、テクノロジーセクターの上昇率はそれを大きく上回る31%だ。
全ての大型ハイテク株が低迷しているわけではない。メタ・プラットフォームズは年初から9.4%上昇し、マイクロソフトは同7.8%高だ。比較的関税の影響が少なく、好決算を発表したことが好感されている。
エヌビディアは年初からほぼ横ばい。同社は28日に決算を発表する。
ただしハイテク株上昇に賭けるのには、リスクが伴う。90日間の関税適用保留が7月に終了した際、トランプ氏が貿易強硬路線に戻る可能性はある。ウォルマートは最近の決算で、仕入れ価格の上昇を近く消費者に転嫁すると発表した。米消費者の
センチメントは5月に予想外に悪化し、過去2番目の低水準となった。インフレ期待は数十年ぶりの高水準を記録した。
ハイテク大手が苦戦する理由はさまざまだが、共通の課題は中国への依存だ。
アップルは依然、iPhoneのほとんどを中国で製造しており、売上高の17%を中国市場に依存している。1-3月(第2四半期)決算では、中国での売上高が市場予想を下回り、株式時価総額は昨年末から7000億ドル(101兆9900億円)減少した。グーグルの親会社アルファベットでは、人工知能(AI)チャットボットに検索を奪われるリスクが浮上。アップル幹部が先週裁判所で証言したところによると、同社のブラウザー、サファリでは4月に初めて検索件数が減少した。
それでも株式投資家に希望は残されている。プリンシパル・アセット・マネジメントのジョージ・マリスCIOは「市場が良好で建設的であるには、必ずしも時価総額トップ銘柄が絶好調である必要はない」と話す。「投資対象全体にわたってより多くの銘柄が取引されていれば、市場はより健全で、よりファンダメンタル重視の市場と言えるだろう」と述べた。
原題:
Big Tech Goes From Stock Market’s Safest Bet to Biggest Question(抜粋)






