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「流動性の蜃気楼」、外為市場に潜む罠か-8月の円高騰が示す危険性

記事を要約すると以下のとおり。

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世界で最も活発な金融市場であり、あらゆる国・地域間の交易条件を決定する外国為替市場には、システム全体の危機に発展しかねない欠陥が存在する。
  主要プレーヤーらは直観的にそう感じているが、恐らく手遅れになるまで証明できそうにない。
  グローバル外為市場の1日当たりの取引額は7兆5000億ドル(約1120兆円)と、他の全ての主要資産クラスを合わせた額より多く、絶えず変動を繰り返す巨大なキャッシュプールのようだ。しかし最近になって、
シティグループや
ドイツ銀行、
XTXマーケッツなど主要プレーヤーが、プールの実際の深さを心配し始めた。
  取引プラットフォームの乱立と、自動化の普及により市場の厚みに錯覚が生じ、大手金融機関の撤退で実際には流動性が失われたと懸念される。取引拒否の増加や主要プラットフォームの取引量減少、買い手と売り手が提示する価格の差の変動といった兆候が挙げられるが、微妙で捉えにくい。いずれも「流動性の蜃気楼(しんきろう)」と呼ばれる現象を暗示し、市場参加者にとってリスクが知らずに高まることも考えられる。

  シティの外為電子取引責任者マーク・メレディス氏は「表面的には流動性がかなり潤沢に見えるかもしれないが、極端な状況下において、ますます脆弱(ぜいじゃく)になっている」と分析する。
  ウォール街にとって、こうした蜃気楼は初めての経験ではない。かつて米国債市場を
悩ませ、外為市場に出現したこともよく知られている。中央銀行や企業、年金資産の運用主体、ヘッジファンドのリスク管理や資金業務になくてはならない為替市場では、特に不安心理が広がる恐れがある。
  トランプ米大統領の関税を巡る発言が揺れ動き、あらゆる資産がそれに翻弄(ほんろう)されている。予測不能なこの政権を考えると、脆弱な外為市場の流動性がより広範な市場危機にいつか発展しないとも限らず、気掛かりだ。

マーク・メレディス氏
Source: Citigroup Inc.  シティのメレディス氏は「為替市場の水面下に潜む危険を垣間見るには、昨年8月5日に起きたドル円の急落を振り返ればよい」と指摘する。

  円建てで借り入れ、高いリターンが期待できる日本以外の資産に資金を投じていたグローバル投資家は、7月末の日本銀行の利上げをきっかけに円相場が急上昇するとポジションの解消に一斉に動き、一方向に大きなフローが生じた。8月5日に円相場は一時3.4%上げ、この日までの5営業日は2008年以降で最も激しい騰勢を経験した。
  輸出業者を円高が直撃するとの懸念が広がり、日本株は1日としては1987年以来となる急落に見舞われた。キャリートレードから投資家が撤退し、ナスダック総合指数は一時6.4%の大幅安となった。日銀は結局、「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と示唆せざるを得なかった。
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  円相場の変動幅とそのスピードは、最近数年で外為市場の流動性が改善されたという想定を裏切るものだ。取引プラットフォームの急増は、流動性を促進する電子取引執行の普及と相まって、日々の為替変動を抑え、平均的な取引コストは大きく低下させる一因となった。
  しかし、別の観点から見ると、12年の20から90余りに増えたプラットフォーム乱立で取引活動が断片化した。さらに電子外為取引で執行可否の決定前に確認を行う「ラストルック」と呼ばれる慣行により、多くのプラットフォームで同じ流動性が提示可能となり、市場の厚みに対する錯覚を生んだ。

  流動性の低下はある意味で、大量の売りが招くあらゆる相場急落の顕著な特徴だ。特定の水準で取引しようとする人が減ると、価格は下落する。昨年8月のキャリートレードの事例は、流動性が関わる通貨危機の様相を示す有用なモデルと言えるが、市場の断片化や電子取引が、円相場の動きにどの程度影響したかは判断できない。
  脆弱な流動性そのものが突発的動きの原因というわけではない。ドラマを引き起こす外的要因が必要であり、マクロ的流れが8月の円高の誘因だった。
  米国の関税や対抗措置に関するニュースが続く中で、一部の資産運用主体の間では、「ボイストレード」に復帰する動きが最近顕著だ。シティによれば、より直接的な取引手段の流動性はかなり潤沢で、顧客が今年に入り移行しているという。

  ソシエテ・ジェネラルの外為グローバル責任者ジョン・エストラーダ氏は、市場が壊れているとは思わないとしながらも、「ボラティリティーが米大統領選以降、高まっている。流動性は以前と比べ確かにやや潤沢さを欠く」と認識を示した。

原題:
Liquidity Trap in FX Market Stokes Fears of Trading Turmoil(抜粋)

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[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 「流動性の蜃気楼」、外為市場に潜む罠か-8月の円高騰が示す危険性

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