今最も注目されている中国の人工知能(AI)関連銘柄は、
アリババグループだ。今年に入り2500億ドル(約37兆円)規模の株価上昇となっており、この値上がりがさらに続く可能性があるとの見方がファンドマネジャーの間で強まっている。
米株式市場ではアリババの米国預託証券(
ADR)が年初から倍以上になった。中国政府が新たなテクノロジー環境における自立路線を打ち出し、投資家がこれに期待を寄せたためだ。
中国のAIを象徴する存在となったアリババのADRはなお、上場来高値を65%余り下回っている。その傍らではここ数カ月、米国の大手テクノロジー株が高値を更新している。
中国経済への慎重姿勢や激しい市場競争を背景に、先月はアリババ株のショート(売り持ち)も急増した。だが、株価には依然として割安感があり、海外ファンドの投資比率が低水準にとどまっているため、上昇余地が残されているとの見方が優勢だ。
GAMインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジエン・シー・コルテシ氏は、「このアンダーウエートのポジションは変わると予想している」と述べ、アリババ株には「大きな上昇余地がある」と分析。
「株価急伸を背景にFOMO(取り残されることへの恐れ)が投資家心理をさらに後押しする可能性がある」とも指摘した。
アリババの株価水準は数年前のピークから依然として大きく下落したままだ。規制当局の締め付けや内部の混乱、中国国内の消費減速が重なり、売りが続いてきた。直近の反発局面でも、一時的に足を引っ張った国内フードデリバリー市場での価格競争が依然として懸念材料となっている。
香港上場株は予想株価収益率(PER)が約22倍と、過去3年平均の2倍に達している。ただしPER水準としては、ハンセンテック指数と同じ程度だ。アリババがピーク時に示した29倍や、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトの現在のPERより小さい。
開発投資
ジャナス・ヘンダーソンのグローバル・テクノロジー・リーダーズ・ファンド(運用資産規模60億ドル)を運用しているリチャード・クロード氏は、「アリババのバリュエーションが法外だと呼ばれることは当面ないだろう。それが多くの海外投資家が安心して参入できる理由とみられる」と語った。
投資家にとっての重要な問いは、どの程度の高いバリュエーションを正当化できる余地がアリババにあるのかということだ。世界的にAI関連銘柄の評価が再び過熱気味との懸念が浮上しており、疑問符も付き始めている。
足元で株価を左右する大きな要因の一つは、企業がAI事業の開発にどれだけ資金を投じるかだ。一般的に規模が大きいほど好感されている。
アリババの呉泳銘CEO(最高経営責任者)は先週、今後3年間で530億ドルと見積もっていたAI予算を拡大する
方針を示した。ただし具体的な規模については明らかにしなかった。
一方、「
ハイパースケーラー」と呼ばれるマイクロソフトとアマゾン・ドット・コム、グーグルの親会社アルファベット、メタ・プラットフォームズの米4社は今年だけで計3440億ドル超を投じる見通しで、その多くがAI向けデータセンターに振り向けられるとされている。
アバディーン・インベストメンツの投資マネジャー、ブッシュ・チュー氏は「中国企業が強力なAI能力と持続的な利益成長を示し続けられれば、世界の投資家は注目するだろう」と述べた上で、「アリババの支出はかなり抑制的だ。世界の顧客にサービスを提供したいのであれば、さらに多くの投資が必要になるかもしれない」との見方を示した。
中国の電子商取引(EC)最大手であるアリババは、AIシフトで早くも一定の成果を挙げている。直近の四半期ではアリババクラウドの売上高が26%増加し、グループ内で最も
急成長している部門となった。
エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントの包夏東ファンドマネジャー(パリ在勤)によると、国内のAI関連銘柄としてアリババにはほとんど競合が存在しないという。
包氏は「米国と異なり、中国ではアリババは世界トップレベルの大規模言語モデルとAI半導体への安定的なアクセス、クラウドインフラの実績、豊富なデータを抱える中核事業を同時に備えた数少ない企業の一つだ」と述べた。
中国で他に同じ水準の企業は、テンセント・ホールディングス(騰訊)と非上場で動画投稿アプリ「TikTok」を傘下に置くの字節跳動(
バイトダンス)だけだという。
原題:
FOMO Builds as Alibaba Extends $250 Billion AI-Fueled Comeback(抜粋)
— 取材協力 Cecile Vannucci





