ドルに対して新興国通貨を買うキャリー取引は今年、この10年で最も高いリターンをもたらしており、米シティグループの戦略責任者によれば、この動きは少なくとも短期的にはさらに続く可能性がある。
シティの新興国市場戦略責任者ルイス・コスタ氏はインタビューで、米連邦準備制度のより積極的なハト派スタンスと、新興国の中央銀行の慎重な政策運営が、ドルに対する新興国通貨の上昇を引き続き支えると述べた。
ドルのショートポジションを基に8つの新興市場を対象としたキャリー取引のリターンを測るブルームバーグ指数は、年初来で10%余り上昇しており、このペースで推移した場合、2017年以来の大幅な年間リターンとなる見通しだ。キャリー取引とは、低金利の国から資金を借り入れ、高利回りの資産や通貨に投資する手法を指す。
コスタ氏は、「新興国市場の中銀は平均して非常に慎重で、多くの地域でかなり中立的だ。これは引き続き実質政策金利が持続する可能性を示唆している」と指摘。また「2026年に米金融当局が一段と緩和的な姿勢を示す可能性を市場が織り込んでいる点も重要だ。これらを総合すると、投資家の米国株需要が再び高まっているにもかかわらず、ドルは依然として落ち着いた動きになるだろう」と話した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は年初来で7.8%下落。米国の関税措置とその混乱した実施によって、世界の基軸通貨としてのドルの安定性に疑念が生じている。ただ、HSBCホールディングスのストラテジストを含む一部の投資家やエコノミストは、ドルに対する売り圧力が「バブル」の様相を帯びており、底値が近い可能性を指摘している。
ブラジル・レアルのキャリーリターンは今年は対ドルで20%余りと、他の新興国通貨を上回っている。コスタ氏によれば、市場は引き続き、ブラジル中銀の慎重なスタンスを織り込んでおり、シティはレアルに対して強気な見方を維持している。
そのうえで同氏は、来年下期には見通しがより厳しくなる可能性があると警告する。緩和的な金融環境と財政政策によって、米国経済がソフトランディングから立ち直り、回復やリフレ局面に向かう展開もあり得るためだ。
「米国のイールドカーブのスティープ化やドルが強含むシナリオでは、新興国を含む国際資産がパフォーマンスを維持するのは一段と難しくなる可能性がある」と、コスタ氏は述べた。
原題:
Citi Says Biggest Carry Trade Rally in Years Has Longer to Run
(抜粋)





