セブン&アイ・ホールディングスが計画する北米事業運営会社の新規株式公開(IPO)計画を堅持すべきかについて、懐疑的な見方がアナリストなどから上がっている。資本政策上のIPOの重要性は変わらないものの、カナダの同業であるアリマンタシォン・
クシュタールによる買収提案が撤回されたことで、セブンが実務上とるべき戦略が変わる可能性を識者は指摘する。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、「北米を中心とした海外事業が一番メインとなる成長領域だ」と指摘する。北米事業運営のセブンーイレブン・インク(SEI)は「虎の子」であり、株式を100%保有して投資成果を上げるための施策を打つことに集中した方が企業価値向上につながると三井氏は強調する。イトーヨーカ堂などの売却・上場以外には「新たな上場といった選択肢は別に検討しなくてもいいのではないか」との見解を示す。
セブンのロゴ
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 岩井コスモ証券の菅原拓アナリストも今後セブンが取り得る戦略について、「残ったのは自力で成長する」選択肢のみだと説明する。その上で、上場は、買収提案に対抗する意図で浮上した面もあり、「株価を目先上げるということを理由に考えると、IPOをしなくて良くなる可能性もある」と話した。
セブンは3月、企業価値向上策の一環で2026年下半期までにSEIを上場させ、その資金で30年度までに総額2兆円の自己株取得の形で株主還元すると発表していた。ブルームバーグ・インテリジェンスは、SEIの評価額は約400億ドル(約6兆円)と推計しており、多額の資金調達につながる。
ただ、北米を含む海外コンビニ事業は、セブンにとって収益源の柱だ。昨年から物価上昇による節約志向で売り上げの低迷は続いているものの、セブンが国内市場で得意としてきた食品などのノウハウを注入すれば、成長の余地はあると見られている。
クシュタールの買収提案撤回で株価が下落する中、株主還元策につながるSEIのIPOの意義は大きい。ただ買収提案対抗の必要性がなくなった今、一部でも虎の子を手放す判断をするべきか。セブンには難しい舵取りが迫られる。
一方、セブン自身は17日に公表した声明で、北米コンビニエンスストア事業のIPOによって、30年度末までに約2兆円の自己株式取得を通じた株主還元の遂行を目指すと改めて強調していた。広報担当者も、北米コンビニエンスストア事業のIPOを行うというマネジメント施策に、現時点で変更はないとコメントした。
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