米
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、今後5年間の運用方針として、償還期間が5-10年の世界の債券を選好する一方で、長期債をアンダーウエートとする見通しを示した。また、成長鈍化が信用力の低い企業に影響を及ぼす恐れがある中、プライベートクレジットについては慎重な姿勢を取るとしている。最新の年次長期見通しで明らかにした。
伝統的な同盟関係の分断、貿易構造の変化、財政赤字の膨張が際立つ新たな世界秩序は、継続的なボラティリティーを引き起こすだろうと、ピムコのリチャード・クラリダ、アンドルー・ボールズ、ダニエル・アイバシン3氏は10日に公表したリポートで指摘。先進国および新興国の高格付け債を通じてポートフォリオを守るよう投資家に勧めた。
また、銀行の自己資本規制が強化される中、資産運用会社が地域銀行に代わって貸し手の役割を担う余地が生まれているとし、資産担保ファイナンス分野に投資機会が広がっているとの見方も示した。
ピムコのリチャード・クラリダ氏
Photographer: Betty Laura Zapata/Bloomberg 「インフレや成長、貿易の見通しが国・地域で大きく異なる状況は、広範かつグローバルな分散投資の必要性を改めて浮き彫りにする」と3氏は記述。「質が低く景気の影響を受けやすい分野でリスクが高まる中、アクティブ運用型の投資家は長期債よりも中期債を選好し、公開市場と非公開市場のバリュエーションギャップを活用し、資産担保ファイナンスでの機会を捉えることで優位に立つことが可能だ」と論じた。
ドルについては、「現実的な代替手段が存在しない」ため、世界の基軸通貨としての地位を維持すると投資家は予想するべきだと指摘。ただし米資産への需要が変化すれば、ドルは長期的な弱気相場を免れない可能性があるとし、「特に外国投資家が為替ヘッジなしのドル建て資産に対する許容度を再評価する」場合は、そのリスクが高まると分析した。
ピムコでは、世界的な国債利回りカーブのスティープ化が引き続き進行すると予想。「2023年および25年に米国で、22年に英国で見られたような、断続的な市場のボラティリティー」が今後も起こると見込んでいる。
日本やドイツ、カナダ、フランス、英国、米国の30年債利回りは、いずれも今年に入って上昇しており、歳出や債務の水準拡大に対する懸念を反映している。
関連記事:
米30年債入札に市場が大注目-「最も不人気な」債券需要の試金石 (1)
ピムコは「世界のイールドカーブおいて、5-10年の中期ゾーンをオーバーウエートとし、長期ゾーンはアンダーウエートとする方針を維持する」見通しだとした。
今年これまでのところ、ピムコは米国債市場におけるボラティリティーをうまく乗り越えてきた。運用資産1820億ドル(約26兆円)の旗艦ファンド「
インカム・ファンド」は年初来リターンが3.6%と、同業他社の96%をアウトパフォームしている。過去3年および5年で見ても、同業他社の91%を上回っている。
ピムコは1月、債券市場の不確実性がリターン実現を後押しするとの
見方を示し、それ以来一貫して5ー10年物の米国債を保有する方針を取っている。5年債利回りは年初来で約0.3ポイント低下して4.06%、10年債は0.1ポイント下げて4.45%前後でそれぞれ推移している。
「当社の長期的な見通しにおいて、米国債はソブリン債市場の中で依然として最もましな選択肢だ。ドルの基軸通貨としての地位に支えられている」と3氏は記した。
関連記事
ウォール街が警戒、トランプ減税法案の「報復条項」-米国債に影響も
トランプ氏と議会に米国債市場が警告-赤字拡大懸念し利回り上昇続く
ウォール街が警戒する「マールアラーゴ合意」-国際金融秩序の再編も
原題:
Pimco Favors 5- to 10-Year Bonds, Is Cautious on Private Credit(抜粋)




