日本銀行の高田創審議委員は5日、金融政策運営について、当面は金融市場の動向を注視した上で、前向きな企業行動が確認された場合は緩和の修正が引き続き必要になるとの見解を示した。石川県金融経済懇談会で講演した。
高田委員は、8月前半の株式・為替相場の大幅な変動の影響が残存するとし、「当面はその動向を注視し影響を見極める必要がある」と指摘。その上で、物価がおおむね見通しに沿って推移する下で、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続など「前向きな企業行動の持続性が確認されていけば、金融緩和度合いのさらなる調整を進め、金利のある世界にしていくことは必要だ」と述べた。
米欧では利下げに向けた動きが生じているが、「これまでの利上げが急だっただけに、その影響が時間を経て生じる場合、わが国の経済を下押しするリスクがある」と語った。海外の経済・物価情勢をリスク要因として捉えた上で、「市場環境も含め極めて高い緊張感を持って注視する必要がある」とした。
同日の円相場は1ドル=143円台後半で推移。7月の毎月勤労統計調査(速報)で賃金の伸びが予想を上回ったことを受けて一時143円19銭と1カ月ぶりの高値を付けた後、高田委員の発言を受けてやや売り戻されている。
他の発言
利上げ後も緩和的な金融環境はなお継続している
十分な時間をかけ、利上げの影響を検証しながら対応する
「物価安定の目標」実現がなお展望できる状況
当面は株式・為替動向を注視し見極め必要
日銀の7月末の追加利上げや米経済の後退懸念を受け、8月に金融市場は大きく不安定化した。植田和男総裁は23日の国会の閉会中審査で、市場は引き続き不安定な状況にあり、極めて高い緊張感で注視していくとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢を改めて表明。市場変動を踏まえた政策スタンスを探るため、日銀からの情報発信に注目が集まっている。
7月の金融政策決定会合では政策金利の無担保コール翌日物金利を従来の0-0.1%程度から0.25%程度に引き上げるとともに、国債買い入れの減額計画を決めた。高田氏は利上げに賛成した。2月末の講演では、2%物価目標の実現が見通せる状況になってきたとし、強力な金融緩和からの出口対応に向けた検討が必要と発言。日銀は3月会合で17年ぶりの利上げを決定した。
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(講演の詳細を追加して更新しました)
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