日本株市場では、高配当で株価が割安な成熟企業を指すバリュー(割安)株に再び脚光が集まろうとしている。投資家の視線は、コーポレートガバナンス(企業統治)改革や株主還元といったテーマへと回帰しつつある。
トランプ米大統領が日本に対して通知した25%の関税発効日である8月1日を控え、日米間での関税交渉合意への期待を背景に、投資家の資金は世界的な景気減速を急速な利益成長で乗り切る企業から、コーポレートガバナンスの改善を通じて長期的なリターンをもたらす企業へと向かっている。
東証株価指数(TOPIX)のバリュー指数は7月に入り、株価バリュエーションが高く、急成長が見込まれるグロース(成長)株の指数を上回って推移。4月にトランプ米大統領が関税方針を発表して以降、相場の乱高下により出遅れていた反動もある。4-6月期はグロース指数の騰落率が2020年以来で最大となる差でバリュー株を上回っていた。
BofA証券日本株チーフ・ストラテジストの圷正嗣氏は「市場の不透明感はピークを迎えつつあり、今後は先行きの不確実性が解消されてくるだろう」と指摘。投資家はコーポレートガバンス改革といったテーマに再び注目するとして、バリュー株への需要が高まるとの見方を示した。
今年度初めには、半導体や防衛関連といった外部要因による成長が見込まれる銘柄が選別され、グロース株に資金が流入した。トランプ大統領の関税政策が企業業績に与える影響を懸念した投資家が、安全資産としてこれらの銘柄を選んだ結果だ。
海外投資家の日本買いも後押し
トランプ氏は7日(現地時間)、日本からの輸入品に25%の関税を賦課すると発表。当初示唆していた30-35%より低い水準だったことに加え、8月からの適用となり、交渉期限が実質的に延長された形となった。
アリアンツ・グローバル・インベスターズで日本株最高投資責任者(CIO)を務める中塚浩二氏は、関税交渉が成立するにつれ、企業に与える影響を予測しやすくなっていると語る。新たな貿易環境に対応すべく、同社では日本株のポートフォリオを分散させており、長期的なテーマとしてコーポレートガバナンス改革に注目しているという。
外国人投資家による日本株買いも、バリュー株の復調を後押ししている。持ち合い株式の解消などを通じて資本効率の改善に取り組む企業は、長期的なリターンを求める海外勢の投資対象となっている。4日までに海外投資家は14週間にわたって日本株の現物を買い越している。
日本企業による自社株買いが引き続き活発となれば、年後半に向けてさらなる追い風になる可能性があるとBofA証の圷氏は語る。「投資家の見通しが少し明るくなっており、グロースとバリューのリバーサルが起こってもおかしくない」という。
一方、トランプ大統領が12日、欧州連合(EU)に対して30%の関税を課すと
表明したことは、主要な貿易相手国・地域との土壇場での合意に向けた楽観的な見通しに水を差し、バリュー株に対する不透明感は依然として残る。
ゴールドマン・サックスのブルース・カーク氏を含むストラテジストらは6日付のリポートで、東証グロース市場250指数が他の日本株指数と比較して、世界政策不確実性指数との相関がはるかに低いと指摘。今年のグロース指数の相対的な堅調さに寄与した可能性があるとの見方を示しており、不確実が解消されない場合には投資家のグロース株への関心は続きそうだ。
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