日本製鉄は18日、米鉄鋼大手
USスチールの買収手続きが完了したと発表した。トランプ大統領の承認を経て、1年半ごしの141億ドル(約2兆円)の巨額買収がついに決着した。
両社の発表文によると、日鉄はUSスチールの株式を1株当たり55ドルで取得。統合後の企業は世界2位の鉄鋼メーカーとなる。日鉄はトランプ政権の鉄鋼に対する50%関税を回避できる重要な拠点を米国内に確保することにもなる。ニューヨーク証券取引所は18日にUSスチール株を取引停止とし、買収が発効したと指摘していた。
USスチール買収は2023年12月の発表後、米大統領選で政治問題化し、今年1月に大統領退任直前のバイデン氏が中止命令を出した。新たに大統領に就任したトランプ氏も買収に反対の姿勢をたびたび示していたが、日鉄の粘り強い交渉が実を結び、同氏の承認を得ることに成功した。
買収の完了を受けて同社の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)と森高広副会長兼副社長が19日午前10時から都内で会見する。
USスチールの生産拠点(ペンシルベニア州、2024年9月)
Photographer: Justin Merriman/Bloomberg 日鉄は成長が期待できる米国市場への足がかりを得る一方、代償も大きい。USスチールに対し予定する投資は当初の27億ドルから140億ドルまで膨らみ、買収の費用も含めた資金を調達するために日鉄が増資に踏み切ると予想する向きもある。
ジェフリーズ証券のアナリスト、ファム・タアインハ氏らは17日付の英文リポートで、短期的な影響としてUSスチール買収に関連して日鉄が3000億-5000億円の増資を実施すると予想した上で、資金調達規模は株式市場の関心に左右されると述べた。
SMBC日興証券の山口敦アナリストらも今月初旬のリポートで、日鉄が目標とする負債資本倍率(DEレシオ)0.7倍とするには15-20%の希薄化率で増資が必要と試算していた。
日鉄の18日の発表によると、同日に1年以内の借り換えと返済を予定してる2兆円をブリッジローンで調達し支払いを終えた。同日時点の調整後DEレシオは0.8倍程度になるものの、9月には資本性の強い円建て劣後特約付きローン(ハイブリッドローン)で5000億円を調達するほか、資産圧縮などにより25年度末には0.7倍台まで改善させ、その後の長期的な資金調達により早期に0.7倍以下にすることを予定している。増資については具体的な方針を示していない。
黄金株
業績が悪化するUSスチールの立て直しが急務となる中、経営の重要事項について拒否権を行使できる「黄金株」発行が経営の足かせとなる恐れもある。
トランプ大統領は米国時間13日に日鉄によるUSスチール買収計画について大統領令を発表。バイデン氏による買収中止命令を修正し、両社に対し国家安全保障協定案を提示した。日鉄の発表によると、締結された同協定は日鉄が28年までに約110億ドルを投資することや米政府への黄金株の発行などを定めている。
日鉄は現地子会社を通じてUSスチールの普通株100%を所有するが、米政府はUSスチールの黄金株1株を保有する。これにより米政府は独立取締役1人の選任・解任権を持つほか、会社名や本店所在地の変更、既存の米国内製造拠点の閉鎖や休止、設備投資の削減や生産や雇用の米国外への移転などを決定する上では米政府の同意が必要になる。その他の事項については米政府は議決権を持たず、配当を受け取る権利もない。黄金株自体の譲渡も禁じられている。
最大9人で構成されるUSスチールの取締役会のうち日鉄側が最大8人の取締役を選任し、うち2人は対米外国投資委員会(CFIUS)の承認を得た米国籍の独立取締役を選ぶ。また、全取締役の過半数を米国籍とすることも定められている。さらにCEOや最高財務責任者(CFO)のほか製造・原料事業担当の幹部など中枢メンバーも米国籍とすることが求められている。
日鉄は7-9月期末時点のバランスシートにUSスチールの資産や負債を計上し、10-12月期の連結決算からは損益計算書にUSスチール分を盛り込む方針だ。また、米国競争法上の懸念を解消するため、完全子会社NS Koteの欧州アルセロール・ミタルへの
譲渡に伴う2300億円の損失を第1四半期に計上する。
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(情報を追加して記事を更新します)
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