イングランド銀行(英中央銀行)は、保有する債券の4分の1余りを数十年にもわたって保有し続けるよう圧力を受けている。最近の市場の混乱で、長期物の英国債に対する需要の弱さが明らかになったことが背景にある。
オックスフォード・エコノミクスやHSBCホールディングスなどの予測専門家は、英中銀が危機時に膨らませたバランスシートの縮小方針を見直し、期間20年以上の国債の放出を制限するか、完全に停止すると見込んでいる。英中銀が保有する長期債は、1630億ポンド(約32兆3600億円)相当に上る。
英中銀は量的緩和(QE)を10年以上にわたり続け、国債保有高を積み上げてきた。だが、年金基金などかつては着実な買い手がほとんどだった市場は今や、リスクに敏感なヘッジファンドや外国人投資家などへの依存を増し、ボラティリティーが高い中で英中銀は保有国債の売却を余儀なくされている。この売却では損失が発生しているが、その大半は長期債によるものだ。
英中銀は21日、次回の量的引き締め(QT)方針を決定する前の最終回として、6億ポンド相当の長期債を入札方式で売却。応札倍率は1.74倍と、同種の国債を売却した前回をやや下回る水準だった。ただ、英中銀は市場に対する懸念から、今年に入り長期債売却の延期を強いられたこともある。
今月はリーブス財務相が解任間近だとのうわさに市場が反応し、英30年債が急落した。トラス政権を退陣に追い込んだ2022年の市場混乱でも、その中心となったのは長期債だった。
一部のアナリストは、年金基金の買いが細り、政府が大型の借り入れを進めているさなかであるため、英中銀はQTで買い手を奪い合っており、ボラティリティーを助長している可能性があると警告する。
英中銀の元金融政策委員会(MPC)委員で、現在はオックスフォード・エコノミクスのシニアアドバイザーを務めるマイケル・ソーンダース氏も、そのような主張を唱える一人だ。英中銀がQTの新方針で、保有する長期債の大半について売却しないと発表する可能性もあると、同氏はみている。
「その場合、QTが英国債市場をいっそう不安定化させるリスクを低下させる効果が主にあるだろう」とソーンダース氏は述べた。
ピーク時に9000億ポンド近くに上っていた債券ポートフォリオについて、英中銀は年1000億ポンドのペースで削減を続けてきた。今年は積極的な売却で130億ポンド分、満期を迎える債券の再投資を行わないことで870億ポンド分を減らす計画だ。
だが、来年は償還予定の債券が少ないため、年1000億ポンドのペースを維持しようとすれば、はるかに多額の債券を売却しなければならず、市場へのリスクとなる恐れがある。
英中銀が実施した投資家調査によると、来年はQTのペースを250億ポンド落とし、積極的な売却は260億ポンドとなることが示唆された。ベイリー総裁は最近、「イールドカーブの超長期部分における流動性が変化し、それが利回りに影響を与えている」と指摘し、従来見込まれたよりも将来の売却が少なくなる可能性をほのめかした。
英中銀は10月以降のQT実施を巡る新戦略について、8月7日の会合で分析を行い、9月に決定する見通し。
原題:
BOE Urged to Hold Back Long-Dated Bonds From Market (1)(抜粋)






