
昨日の米国経済ニュースから、今後の経済見通し、金融政策、地政学リスクの影響、主要産業の動向など注目すべき5つのテーマを取り上げ、全体像をご紹介します。株式市場は今年前半に大きな変動を経験しましたが、足元では回復機運も見られます。その背景にある米連邦準備制度理事会(FRB)の金利方針、エネルギー・防衛関連の動向、中東情勢の緊張など、多角的に現状を読み解きます。
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2025年前半の米国株式市場:激動の後の持ち直し
2025年前半は、株価指数が大きく乱高下する荒い相場となりましたが、6月時点ではナスダック総合指数が過去最高値まで3.4%、S&P500もピークから3%未満の下落幅に収まるなど、市場全体の地合いは徐々に安定感を取り戻しています。4月には関税への懸念で一時S&P500が年初来で最大17.8%下落しましたが、米著名エコノミストのEd Yardeni氏は「年後半にはS&P500が再び上昇し、6,500ポイントに達する可能性がある」と強気見通しを示しています。ただし、エネルギーやハイテク関連コストの急騰、レアアースの供給懸念など、外部リスクにも警戒が必要です。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」)
金融政策の焦点:FRBは利下げに慎重姿勢
最新のFRB会合では、2025年内の利下げが「1回」に後退する可能性が高いとの見方が強まっています。3月時点の見通しからさらにハト派色が後退し、インフレ抑制と雇用維持のバランスに腐心する構図です。5月の雇用統計は13.9万人増の堅調ぶりを見せた一方、家計調査ベースでは雇用者数が大きく減少したという指摘も。短期的な景気減速リスクや石油価格の上昇圧力にも配慮し金融市場の期待感も一定の抑制傾向が強まっています。(出典:「Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern」)
中東情勢と市場:防衛・エネルギー株が注目
イスラエルとイランの対立がエスカレートし、米国も空母派遣など軍事的関与を強めています。これにより米国内の防衛関連株(例:クレイトス・ディフェンス、L3ハリス、ロッキード・マーチン、レイセオンなど)が総じて上昇基調。一方で原油価格も一時4.3%上昇し、6月の上昇幅は23%を超えています。地政学リスクが金融市場やエネルギー需給に与える影響が大きいことから、政策対応やマーケットのリスクシナリオにも目配りが必要です。(出典:「Israel Ramps Up Iran Attacks, U.S. Sends Ships; Defense Stocks Rise」)
小売や再生エネルギー分野への波及と株式リーダー
直近の米小売売上高は予想を下回る結果となり、消費の足元にはわずかな弱含みも。ただし、総じて好調な雇用環境が下支えしています。一方、再生可能エネルギー株—特にソーラー関連—は議会による補助金縮小への懸念から直近で大幅安となりました。一方で、情報通信・ヘルスケアなど高い利益成長が見込まれる分野は引き続き投資家の関心を集めています。(出典:「Stock Market Slumps On Mideast Uncertainty, But Leaders Look Fine; 3 Oil And Gas Stocks To Watch」)
波乱を乗り越えるためのポイント:リスク分散の再確認
2025年前半のような大きなボラティリティ下では、企業業績の安定成長や分散投資の重要性が浮き彫りとなっています。米市場では、急落後ほど資産配分のリバランスや質の高い企業への注目が集まりやすい傾向です。短期的なニュースに振り回されすぎず、中長期的な視野で「レジリエンスの高い分野」を選択していく姿勢が、今後も重要になるでしょう。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」)