中国では、景気停滞によって最も手頃な商品の需要も減退しつつある。消費を巡って数少なかった明るい材料の一つが急速に衰えている。
中国経済の動向を巡るグローバル市場への新たな警告として、越境電子商取引(EC)サイト「Temu」を運営する
PDDホールディングスは26日、いつになく弱い業績見通しを示した。景気減速期に低価格商品の投入で売上高と利益を伸ばし、EC市場で台頭してきたPDDがこの日発表した4-6月(第2四半期)売上高も市場予想に届かなかった。
陳磊最高経営責任者(CEO)は決算発表後の会見で、景気が減速する中で売上高と利益が減少するのは「避けられない」と、少なくとも8回言及した。
陳氏はアナリストらに対し、「消費者需要の変化や競争激化、グローバル環境を巡る不確実性など、多くの新たな課題が待ち受けている」と指摘した。
陳CEOらは、長い目で見れば中国の消費には自信を持っていると慎重ながらも強調したが、ダメージは大きかった。PDDの米国預託証券(ADR)は26日、29%安と上場来最大の下落率で引け、550億ドル(約8兆円)相当の時価総額を失った。
China's Consumption Weakens As Growth Driver in 1H 2024
Household and public expenditures accounted for about 60% of GDP growth
Source: National Bureau of Statistics
Note: 2024 figure represents the first half of the year. Figures represent contribution to GDP growth in percentage points.
PDDはこれまで、消費のグレードを落とす節約型の「消費降級」の主な受益者と見なされてきたため、今回の警告は投資家を驚かせた。中国国内では「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」、海外ではTemuで展開する低価格戦略は、経済がかつてないほど不安定な時期に、コスト意識の高い買い物客にアピールすることが目的だった。
ロベコ香港のアジア太平洋株式責任者、ジョシュア・クラブ氏は「中国の消費者の弱さが大きな問題だ」と指摘。「競争や消費低迷による影響は間違いなくマイナスに働くだろう」と話す。
陳CEOは、消費者行動に根本的な変化が起きており、創業以来売上高を押し上げてきた格安商品離れが進んでいることを示唆した。
陳氏は決算発表の電話会議で、「消費者は品質と値段のバランスを取り、よく考えて決断を下すようになっている」とし、「それに応えるため、われわれは質の高いブランドやメーカーと協力し、こうした多様な需要に応えるカスタマイズ商品を開発してきた」と語った。
一部の投資家にとっては、PDDの経営幹部は単に過度な期待を抑えようとしているように見えた。ウォール街はPDDが4-6月の売上高をほぼ倍増させることに賭けていたが、実際の売上高は86%増だった。同社幹部は26日、将来的な機会を生かすため、大型投資を行うと表明した。
モルガン・スタンレーのエディー・ワン、キャシー・チュー両アナリストはPDDの決算について、「弱い消費や競争激化を示唆しているが、長期的な収益性の低下に関する経営陣のコメントは、保守的過ぎるとわれわれはみている」と分析した。
長期的には労働市場に加え、中国当局の経済運営によって多くが左右される。
当局は景気が減速しても十分な雇用を確保するため、国有企業に採用や職業訓練を強化するよう求めている。
だが、多くのエコノミストは少なくとも低所得層に対する現金補助や消費券の支給が必要だと指摘しているにもかかわらず、当局は消費者への直接的な支援の強化を見送っている。また、消費拡大を促す上で必要となる賃金上昇を下支えする措置も控えてきた。ここ数年、学習塾から金融に至るまで、多くの業界に対する締め付けも労働市場を悪化させている。
今のところ、多くの投資家はなおPDDが不安定な経済の中で少なくとも同業他社を上回ると期待している。
モルガン・スタンレーのアナリストらは、「われわれはPDDが業界の成長をアウトパフォームする唯一の中国電子商取引プレーヤーだと考えている」と評価した。
原題:
PDD’s $55 Billion Stock Crash Sends Warning on Chinese Economy(抜粋)







