トランプ米大統領が政府管理下にある住宅金融大手
ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)と
フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)に住宅建設の拡大を促すよう求めたSNS投稿が、停滞する市場と建設コスト高に直面する業界で混乱を広げている。
トランプ氏は5日、米住宅ローン市場の過半を支えるこの2社に「大手ホームビルダーを動かせ」と自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で促した。
ただし、具体策には触れなかった。両社の監督機関である連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長はこの投稿をX(旧ツイッター)で共有し、「対応中だ」とコメントした。
フレディマック
Photographer: Kent Nishimura/Bloomberg こうした呼びかけは、ホワイトハウスが住宅価格高騰への対策を示そうとする意欲を反映するものだが、不動産業界出身のトランプ氏が「友人」と呼ぶ大手住宅建設会社への異例の圧力ともなっている。
しかし、ファニーメイとフレディマックがどのような仕組みで住宅建設を促すことが可能なのかは不透明だ。
キーフ・ブリュエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリスト、ボーズ・ジョージ氏は「少し謎だ。すでに連邦住宅局(FHA)が低・中所得層向けの住宅ローンを提供しており、これ以上どんな支援ができるのか明確ではない」と述べた。建設会社が利用できるFHA保証の付いた建設ローンもあるという。
ホワイトハウスの報道官は政府の具体的な計画への言及を避けた。デサイ報道官によると、「トランプ大統領は、米国の住宅価格危機への対応を強く求める国民の信任を得た。政権は規制緩和とバイデン政権のインフレ危機を是正することを通じて金利引き下げの道を開くことに全力を挙げる」という。
FHFAに対し詳細を尋ねると、報道担当は「ファニーメイとフレディマックは大手建設会社に多大な流動性を供給している。大手建設各社は再び建設に取り組む必要がある」とコメントした。
「200万区画の空き地」
トランプ氏はSNS投稿で、全米の「大手ホームビルダー」が「200万区画の空き地」を抱え、住宅価格をつり上げていると批判した。
ただし、業界関係者によると、大手建設会社が保有または取得オプションを持つ土地の多くは、下水道や水道などのインフラが未整備で、現時点で建設可能ではないという。これらの土地は多くが許認可や行政手続きを経る必要がある。
トランプ大統領
Photographer: Shawn Thew/EPA/Bloomberg 全米ホームビルダー協会(
NAHB)のジム・トービン最高経営責任者(CEO)は、「まずそうした土地がどのような状態にあるか分からない。加えて、大手建設会社は自分たちのやり方で動くだろうが、大統領に問いたいのは、全米の住宅供給の半分を担いながらウォール街の資金にアクセスできない何千もの建設業者を支援するため、どんな政策が可能かという点だ」と語った。
NAHBは以前から、政府支援企業による建設ローンの保証を求めており、市場の流動性を高めてほしいと考えている。最新のNAHB資金調達調査では、建設事業者は14四半期連続で与信環境の引き締まりを報告している。
トランプ政権の取り組みにこうした対策が含まれるかはどうかは不明だが、もし導入されれば、別の重要課題であるファニーメイとフレディマックの
再上場計画に影響を及ぼす可能性がある。
アーバン研究所の非常勤フェローで、オバマ政権時の住宅政策顧問だったジム・パロット氏は「政策当局が政府支援企業を政策ツールとして重視すればするほど、そのツールを単純に民間株主に戻すことは難しくなる」と指摘した。
アナリストらも、建設ローンの保証は企業価値の算定を複雑にするとみている。「建設ローンは高リスク融資で、信用リスクが高まる」とKBWのジョージ氏は話した。
パルトFHFA局長は6日、「各建設会社と個別に会談している」とXに投稿し、翌日には、フレディマックの取締役に3月に起用された
トライ・ポイント・ホームズのブランドン・ハマラ副社長が「ファニーメイにフルタイムで加わり、取締役として米国の住宅建設促進に力を尽くす」と発表した。
政策の矛盾
建設各社はトランプ政権の政策がもたらす新たな不確実性にも直面している。トランプ氏は住宅価格の引き下げと建設促進を訴える一方で、主要な通商政策である関税措置によって、住宅建設に必要な資材コストを押し上げている。
政府は、木材や鉄鋼、キッチンキャビネット、石こう(壁材の主成分)に対して新規または
追加の関税を課す。
ブルッキングズ研究所の最新分析によれば、これらの関税は住宅投資コストを総額約300億ドル(約4兆5700億円)膨らませる見通しだ。
さらに、政権の移民政策は、移民労働者に依存する建設業界の人手不足を悪化させ、コスト上昇に拍車をかける恐れがある。
サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン危機後の住宅供給不足を背景にこうした状況が進行。供給の制約が住宅価格を押し上げ、インフレを高進させ、米経済への不満を広げている。
住宅価格と住宅ローン金利の高止まりにより、買い手、売り手の双方が市場から距離を置く状況が続き、取引は停滞。建設会社も慎重姿勢を強めている。
全米住宅会議のデービッド・ドワーキンCEOは「住宅建設を促進することが解決策の根幹であるのは間違いない。だが、どう実現するかが難題だ」と述べた。
住宅建設(カリフォルニア州)
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg原題:
Trump Call for Fannie, Freddie to Spur Building Is ‘A Mystery’ (抜粋)





