トランプ次期米大統領の政策が公約通りに実行されれば、新興国市場のジャンク(投機的格付け)債相場の堅調さは、過去4年間の債務危機と今後4年間の新たな苦境の間に生じたつかの間にとどまるリスクがある。
新興国の高利回りドル建てソブリン債に関するブルームバーグ指数は今年15%上昇しており、2016年以来最大の伸びとなる方向だ。グローバル投資家は、デフォルト(債務不履行)を巡る対応や経済改革着手でアルゼンチンやスリランカ、ガーナなどを好評価。また相場は、過去2カ月の米利回り急上昇にも耐性を見せている。
だがトランプ氏の返り咲きが決まったことで、上昇相場がどれだけ続くかに疑問が浮上している。こうしたジャンク債市場で大半を占める最貧国は、トランプ氏が公約に掲げる関税引き上げや政府支出拡大、不法移民の強制送還で最も大きな打撃を受ける立場にある。ドルへの依存度が高いことで、国内に資本や需要を持つ国よりも米政策から受ける影響は大きくなる。
パキスタンの前中央銀行総裁で現在はアルバレス・アンド・マーサル(A&M)でソブリン助言サービス担当責任者を務めるレザ・バキル氏(ドバイ在勤)は「予想されるトランプ氏の政策転換によって米金融当局は利下げ休止を迫られ、世界経済は高めの金利が長期間続く環境に置かれるだろう」と指摘。
「これによって新興国市場通貨は対ドルで下落し、既に経済的な脆弱(ぜいじゃく)性に向き合っている国の試練がさらに大きくなる。外貨準備が激減し、対外的な安定性が損なわれるにつれ、財政難のリスクが高まる」と分析した。
Heavy Borrowers Most at Risk
Trump's policies may spark pain via lower credit flow, higher funding costs
Source: International Monetary Fund via Alvarez & Marsal
格付け会社も、トランプ氏の政策が国家の信用力に与える潜在的影響を注視している。ムーディーズ・レーティングスのアナリスト、ビットリア・ゾリ氏は「たとえ輸出価格がドル建てだとしても、関税などによる世界貿易混乱は、対米輸出を行う新興国市場にマイナスに働くことは明らかだ」とした上で、「特に米政策金利が従来予想より高い水準にとどまれば、ドル高が状況をさらに悪化させかねない」と警告した。
Junk Bonds Beat All Else
High-yield bonds are the best-performing EM asset class this year
Source: Bloomberg, MSCI
原題:
Junk Bonds at Risk as Emerging Markets Brace for ‘Trumponomics’(抜粋)






