欧州連合(EU)の外交トップを務めるカヤ・カラス氏は、欧州の軍事能力を大幅に引き上げる選択肢には共同債の発行があると強調した。ロシアのウクライナ侵攻を解決するため早期に交渉に入ったトランプ米政権の戦術には、批判的な見解を示した。
20カ国・地域(G20)会合を前に南アフリカ共和国のケープタウンでブルームバーグのインタビューに応じたEUのカラス外交安全保障上級代表(外相)は、ロシアの主張が受け入れられつつあるとして危機感を示し、欧州は資金の大規模な再配分が必要になるかもしれないと語った。
カラスEU外交安全保障上級代表(南ア・ケープタウンで)
Photographer: Dwayne Senior/Bloomberg
防衛費増額の方法を巡ってEU内で議論が加速し、共同での資金調達はますます話題に上るようになった。
カラス氏は新型コロナウイルスのパンデミック復興基金に残る未使用金を転用することもEUは検討できると述べつつ、「これは短期的な資金調達方法だと考えている。この資金をどう活用するか見いだし、迅速に行動する必要がある」と指摘し、共同債も協議に上っていると認めた。「さらに、中期や長期の資金調達も検討する必要がある」と続けた。
トランプ政権がウクライナと欧州の頭越しに、ウクライナ戦争の終結を目指す協議をロシアと始めたことに、欧州の首脳は衝撃を受けた。今後の展開に影響力を行使でき、欧州やウクライナの安全保障を犠牲にするような最終的な合意を確実に阻む方法を見いだそうと、欧州の当局者は頭を悩ませている。
「大きな痛みを伴う決断が、EU加盟国に求められている。資金の再配分や優先順位の変更なしにそれができると考えるのは幻想だと思う」とカラス氏は語った。
緊急会合
マクロン仏大統領は19日、一部の欧州首脳と会談し、欧州の防衛能力強化策を巡る議論を継続する予定だ。マクロン氏は17日に同様の議題でショルツ独首相やスターマー英首相らとの会合を開いたばかりだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の分析によると、ウクライナの防衛と欧州主要国の国防強化には今後10年間で3兆1000億ドル(約470兆円)の追加費用がかかり得る。北大西洋条約機構(NATO)の計画立案当局は、加盟国は防衛費を国内総生産(GDP)の最大3.7%に引き上げる必要があると試算したと、ブルームバーグは先に報じた。
原題:
EU’s Top Envoy Says Common Bonds for Defense Are on the Table(抜粋)




