欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は12日、世界の貿易と欧州の防衛体制を巡る急激な変化が、物価安定維持を難しくするだろうとの見解を示した。
ラガルド氏はフランクフルトでの会議で、これらの変化は「両面のある衝撃」であり、気候変動と並んで政策決定を複雑にすると述べた。
「新しい時代における安定性の維持は、非常に困難な課題となるだろう」とし、「インフレ目標への絶対的なコミットメント、どのような衝撃に対して金融政策による対応が必要となるかを分析する能力、適切に対応する機敏さが必要となる」と語った。
ECBは来年序盤にはインフレ率が目標の2%に戻ると確信しており、低迷する経済の足かせを緩めるために金利を引き下げている。
欧州の軍事支出増加に加え、トランプ米政権が課した一連の関税の影響についても推測しようとしている。
「貿易の分断化とキャパシティーに限界がある分野での防衛支出増加は、原則的にはインフレ押し上げ要因だ。一方で、米国の関税はEUの輸出品に対する需要を低下させるとともに、中国からの過剰生産能力が欧州に振り向けられることを促す可能性もあり、その場合はインフレ低下要因になるだろう」とラガルド氏は分析した。
衝撃にかかわらず、「インフレが常に、中期的に2%に収束するように、政策を適切に設定しなければならない」と述べた。
ECBは2025年後半に金融政策戦略見直しの結果を明らかにする予定。21年に終了した前回の取り組みほど広範囲ではないが、今後の金利政策や危機対応に大きな影響を与える可能性がある。
当局は供給ショックが定期的に発生した場合にどう対応すべきかを調査している。
ECBは21年に、インフレ急上昇は一時的なものだと判断し、翌年に利上げを開始したが、対応が遅過ぎたとの批判もある。
ラガルド氏は「明確な戦略と揺るぎない物価安定へのコミットメントの下、複雑な状況が生じた際には機敏に対応できる柔軟性を維持する必要がある」と語った。
原題:
Lagarde Says Era of Shocks Makes ECB’s Inflation Job Harder(抜粋)








