
昨日の米国経済ニュースから注目すべきテーマを5つ取り上げ、全体像をまとめます。2025年前半は市場のボラティリティが極めて高く、インフレや金利動向、国際情勢の変化が投資家心理に大きな影響を与えました。FRBの金融政策や米中貿易摩擦、原油価格やエネルギー株の動向、そしてテクノロジー株や暗号資産市場の動き、さらに世界経済の成長鈍化見通しにも注目です。それぞれ定量データや根拠を踏まえて解説します。
Contents
2025年前半の市場総括と次の半年の見通し
2025年前半の米国株式市場は、エネルギッシュで上下に大きく振れる展開が続きました。4月にはS&P500が年初来で−17.8%、ナスダックも−23.4%まで下落しましたが、その後回復し、6月17日時点ではS&P500が+1.7%、ナスダックが+1.1%と反発。経済成長率をめぐっても、アトランタ連銀が第2四半期に4%近いGDP成長を予想した一方で、OECDは2025年・2026年ともに2.9%成長とみています。雇用も5月に13.9万人増と市場予想を上回り、消費も堅調を維持。一方、米中間の関税措置や政策不透明感が高まり続けており、マーケットや経済には引き続き注意が必要です。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」)
FRB金融政策と金利動向の最新シナリオ
6月のFOMC(米連邦準備制度理事会)は、2025年中の利下げ回数見通しを「年1回」に下方修正し、インフレ圧力や原油高により慎重姿勢が強調されています。特に原油の高騰や中東情勢(イスラエルとイラン、米国の関与の有無)がインフレ観測を強めて、早期利下げ期待を後退させています。市場は9月に0.25%の利下げ確率を65%程度、年内に最大2回の利下げを予想しています。一方で、労働市場の崩れ(5月の雇用者数は13.9万人増だが、3・4月分の下方修正や雇用者減も示唆)があれば、FRBのスタンスが変化する可能性も引き続き注視されています。(出典:「Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern」)
エネルギー・コモディティ市場と産業構造
2025年は金や銀などの貴金属が米ドル安追い風で30%以上の急騰。逆に原油(WTI)は4月の4年ぶり安値(55.12ドル)からは持ち直したものの、他のコモディティや株式に比べて出遅れ気味です。特にS&P11業種中エネルギーだけが年間で13%減益と厳しい状況。ただし2026年には19.9%の反発が予想されており、投資や需給転換の動向が注目されます。また、エネルギー政策や国際情勢の影響も無視できません。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」)
ハイテク・成長株と暗号資産の今後
情報技術(テクノロジー)・ヘルスケア・通信の3分野は2025年にそれぞれ16%、14.9%、10%の利益成長が予想され、S&P500全体のEarnings予測も4.9%増(第2四半期)と粘り強い動きです。特に2023〜24年のナスダックは合計80%近い上昇を記録しており、構造変化が見て取れます。また、ビットコインをはじめとする暗号資産も急伸しており、Circle InternetやETFなど新興市場の拡大も顕著に。投資家はリスク許容度と分散戦略が求められます。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」)
米中・貿易、地政学、世界経済の成長・リスク
米中対立と関税合戦、それに伴う貿易摩擦が4月以降、株価調整を引き起こしましたが、6月には両国で高関税の一部停止が合意され、心理的な圧迫が緩和しました。しかし、OECDは米GDP成長率が2025年1.6%、2026年1.5%に鈍化すると警戒。欧州やカナダの株式市場は好調ですが、中国はPMIが48.3と再び縮小傾向。地政学リスクとグローバル連鎖も意識すべきです。(出典:「What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.」「Dow Jones Futures Rise Ahead Of Fed Chief Powell; Trump Mulls Iran Decision」)