7月の円相場は過去5年連続で上昇しており、今年も季節性に後押しされる形で堅調な滑り出しとなっている。
円は過去6カ月間に対ドルで9%上昇。世界的な貿易戦争や米金利の低下がドルを押し下げる中、投資家は円買いを進めており、7月の季節性によりさらに勢いづく可能性がある。7月は2020年以降、毎年円高が進んでおり、平均月間上昇率が2.8%と最も好調な月となっている。
アナリストらは過去の7月の円高要因として、日本銀行の政策変更、8月の夏季休暇を前にしたポジション調整、配当支払いなどに向けた輸出企業による海外収益の円転などを挙げている。今月もこうした要因が一部影響する可能性があるが、今回は全般的なドル安が主な推進力となる見通しだ。
アストリス・アドバイザリー・ジャパンの投資戦略責任者、ニール・ニューマン氏は「流動性が低下し、多くの運用者が休暇に入るため、エクスポージャーを減らすことは理にかなっている。今月も例外ではないだろう」と話す。
9日の国別関税引き上げ期限を前に米国と日本の通商協議が続き、月末には日銀の政策金利決定を控える中、一部の投資家はすでに円高に備え始めている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、6月24日までの1週間でレバレッジドファンドによる円のネットロング(買い越し)ポジションは7301枚増加し、1万5935枚となった。
先週は、日銀で最もタカ派とされる田村直樹審議委員が経済の不確実性が残る中でもインフレリスクが高まれば利上げが必要になる可能性を示唆し、円高が進んだ。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)によると、10月の日銀金融政策決定会合までに利上げが実施される確率は約40%で、年内の利上げの可能性は50%強と見込まれている。
T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは「為替は円高方向」と予想。今月は日米の通商協議の進展や日銀がタカ派的姿勢を示すことで、円高要因が重なるとみている。
浪岡氏はまた、8月の夏季休暇を前にバイサイドの投資家が円ポジションを積み上げる可能性を指摘。一方、製造業者や企業は休暇前に資金を確保しようとドルを円に換金するという。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、今月の円の上昇率は昨年7月に記録した7%超より小幅にとどまると予想する。市場はすでに歴史的に高水準の円ロングポジションを抱えており、それが巻き戻されれば円安要因になり得ると分析する。
もっとも、今年は円固有の要因よりも、ドルの動向が7月の円の方向性を左右する可能性が高い。ドル指数は年初来で10.8%下落し、上半期としてはニクソン大統領当時の1973年以来、最悪のパフォーマンスとなっている。
カナダのフォレックスライブ・ドット・コムで通貨アナリストを務めるアダム・バトン氏は「2025年の外国為替市場のテーマはドル安だ」と指摘。「その大きな要因は貿易戦争であり、トランプ氏は7月初旬にも再び対立を激化させる構えだ。これはドルの支えにはならない」と述べた。




