欧州中央銀行(ECB)の当局者らは6月の政策委員会で、ユーロ高が輸出に及ぼす潜在的リスクを強調していた。同会合の議事要旨から分かった。
7月3日に公表された議事要旨によれば、当局者らは貿易を巡る不確実性が既にユーロ圏の経済見通しを曇らせており、特に投資活動に悪影響を及ぼしているとの認識を示した。
また「関税の引き上げと最近のユーロ高は、輸出の重しになるだろう」との見解が示された。
今年に入りユーロがドルに対し約14%上昇したことはインフレ抑制に寄与した一方で、これ以上の上昇はインフレ率をECB目標である2%を下回る水準まで押し下げ、輸出企業の競争力にも打撃を与える可能性がある。
デギンドスECB副総裁は今週のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ユーロが1.20ドルを超えて上昇すれば「複雑な問題になる」と述べた。ユーロは現在、1.179ドル付近で取引されている。
関連記事:
ECBのデギンドス副総裁、ユーロ1.20ドル超は対応難しくなる可能性
ECBの最新予測では、インフレ率は2026年に1.6%まで低下した後、27年に2%に戻る見通し。
議事要旨によれば、当局者らは「エネルギー価格と為替レートの動向により、当面は総合インフレ率が目標を下回る可能性が高いが、中期的にインフレ動向は財政政策の影響が強まるだろう」とみている。
各テーマの議論は以下の通り。
ユーロについて
各市場でユーロ建て資金の魅力が高まり、最近の為替レートに反映されている
4月の関税ショック以降、ユーロ・ドル相場は金利差から乖離(かいり)した。これはヘッジ行動の変化が影響している面もある
過去には、外国為替市場のボラティリティーが高まると、ユーロはドルに対し下落する傾向があった。ところが過去3カ月は、ボラティリティーが高まる中でもユーロは対ドルで上昇し、最近ではドルではなくユーロが、安全への逃避通貨としての役割を果たしていることが示唆される
リスクヘッジのコストを考慮すると、両通貨の調達コストはほぼ同等だが、それでも米企業はユーロでの調達を増やしている。これはユーロの魅力が増していることの裏返しだ
金利について
メンバー数人は金利を据え置く根拠があると考えていた
7回の利下げを経て金利はいまや十分に中立圏内にあり、あるいは既に緩和的な領域に入っている可能性がある
インフレについて
2026年が重要な年になるとの指摘があった。賃金交渉で目標値に満たないインフレ期待が定着し、下方向の二次的効果が生まれる可能性があるからだ
インフレ率が長期にわたり目標を下回るリスクは、エネルギー価格や為替だけでなく、需要の弱さや賃金の伸び減速なども要因になる
インフレの下振れが一過性にとどまるとの見方は、適切な金融政策設定が条件であり、これに留意することは重要だ
経済について
購買担当者指数(PMI)の製造業の生産と新規受注は3カ月連続で拡大領域を記録し、将来の生産に対する期待も3年余りで最高の水準に上った
これは前向きな展開と見なされたが、輸出の前倒しによる製造業への一時的な押し上げが一部反映されている
市場について
ユーロ圏国債市場の底堅さは注目に値する。ユーロ圏国債の利回りとオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利のスプレッドは、4月の米関税発表以来、目に見えて縮小した。
原題:
ECB Officials Flagged Danger of Strong Euro at June Meeting (1)(抜粋)
(各テーマの議論内容を第8段落以降に加えます)





