高リスクの銀行債であるその他ティア1(AT1)債が、記録的な上昇を演じている。市場の過熱感を懸念する声が一部で出ているものの、勢いが弱まる兆候はない。
ブルームバーグの指数によると、AT1債は2023年にクレディ・スイス債が無価値となった後に付けた安値から57%以上上昇している。この資産クラス史上で最大の上昇局面は、20年の新型コロナウイルス流行後の上昇をも超えた。
2680億ドル(約40兆円)規模のその他ティア1(AT1)債市場に資金が流れ込んでいるのは、高利回りが理由だ。ブルームバーグの指数によれば、今年のリターンはドルヘッジありのベースで2桁台が見込まれ、投資適格債やハイイールド債をしのぐ見通し。
欧州の銀行部門に対する前向きな見方も市場を支えている。欧州の銀行株指数は米国の銀行株だけでなく、米大手ハイテク株7銘柄のマグニフィセント・セブンをも上回るパフォーマンスを示している。
ケプラー・シュヴルーのクレジット調査責任者、セバスチャン・バルテレミ氏は「AT1債は堅調な需給要因、低下する金利ボラティリティー、欧州銀行セクターの健全なファンダメンタルズに支えられ、引き続きアウトパフォームする好位置にある」と述べた。
旺盛な需要を背景に、AT1債のスプレッドは記録的な低水準で推移している。利回り重視の投資家が殺到した結果、国際的な大手銀行と地域の小規模行の間のスプレッドの差も縮小した状態にある。
古くからのAT1債投資家からは、市場の過熱を指摘し投資家は選別姿勢を強めるべきだと説く声も出ている。
一方で、新発債には依然として募集高を上回る需要がある。仏ルノーの自動車金融子会社RCIバンクが発行した4億ユーロ(約690億円)のAT1債には、18倍超の注文が集まった。
AT1債の人気は、欧州の銀行の業績改善に支えられている。銀行は今年、手数料収入やトレーディング収益の増加で利益が急伸し、自己資本比率も堅調を維持している。
金融危機後、納税者ではなく銀行投資家に損失を負担させる仕組みとして導入されたAT1債だが、当時と比べ銀行を取り巻く環境は大きく変化している。
原題:
AT1 Bond Market Notches Record Bull Run on Rosy Bank Outlook(抜粋)






