米株式市場は4月に安値を付けて以降、いくつもの警戒サインを消化しながら36%も上昇してきた。高揚感に包まれた市場は現在、投資のレジェンド、ウォーレン・バフェット氏が注視する「バフェット指標」と向き合わなくてはならなくなった。
この指標は市場全体の時価総額を国内総生産(GDP)で割ったもので、市場の過熱度合いを測る目安とされる。米株式の時価総額は現在約72兆ドル(約1京1048兆円)で、GDPの2倍を上回っている。
ステファノ・パスカーレ氏らバークレイズのデリバティブストラテジストは「株式が過大評価されていることが示唆されており、バブル的な状況という懸念の声に共鳴するものだ」と顧客リポートで述べた。バフェット指標は万能ではないものの、「行き過ぎた熱狂」の警告として受け止められるべきだという。
出所:バークレイズ・エクイティー・デリバティブズ、ブルームバーグ、FRB、セントルイス連銀 バークレイズのチームは今年、1997年以降のオプションデータに基づく独自の「株式熱狂指標」を導入。これもバフェット指標と似た動きを示し、同様の警告を発している。これによると、株式全体における熱狂的銘柄の比率は現在11%と、長期平均の7.1%を上回っている。この指標はドットコムの熱狂が渦巻く1990年代終盤と、2021年のミーム株熱狂時に10%を超えていた。
S&P500種株価指数の株価収益率(PER)が過去の暴落前と同水準に達する中、市場のフロス(泡)への警戒感は数カ月前から続いている。労働市場の鈍化や低所得層の消費減退など、経済への懸念も出てきた。それでも企業業績は好調で、人工知能(AI)関連の投資も経済活動を後押ししている。
バフェット氏は対GDPでの株価バリュエーションが現在と同じ水準にあった2001年、投資家が「火遊びをしている」と稽古濃くした。同氏は一方で、2017年のバークシャー・ハサウェイ株主総会で「1つや2つの公式をもって市場を過小評価もしくは過大評価と決めつけられるほど、事は単純ではない」とも述べている。
バフェット指標が過去に警鐘として機能しなかった例もある。2019年春に警戒シグナルが発信されたが、S&P500種はその後上昇を続け過去最高値を更新した。近年は巨大ハイテク企業の比重が増し、米企業の海外収益も拡大しているため、国内経済のみを測定するGDPとの比較には限界があると、バークレイズのパスカーレ氏は指摘する。
しかし企業利益は増大しており、第3四半期の決算は近年で最も強い内容だった。ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによれば、S&P500企業の70%超が決算発表を終えた現時点で、利益は前年比で平均13%近く伸びた。ドイツ銀行によれば、企業の増益は「多方面で広がっており」、一部の大手テック企業だけに集中しているという懸念は和らいだと指摘した。
それでも最近の市場では、上昇銘柄の一局集中からの反動や調整懸念もくすぶる。ドイツ銀行のストラテジスト、ジム・リード氏はデータ分析会社パランティア・テクノロジーズの株が4日に8%下げたことを例に挙げ、「同社が前日に売上高見通しを上方修正していたにもかかわらず株が下げたのは、期待のハードルが信じがたいほど高過ぎたことを意味する」とリポートで指摘した。
バークレイズのストラテジストは市場が季節的な好調期に入りつつあると指摘した上で、「リスクを抑えながら最近の利益を確定する手段として、上昇余地を抑制的に借りに行くような戦略が依然として賢明だ」と助言している。
原題:
Buffett, Barclays Market Indicators Send Warning to Stock Bulls(抜粋)






