15日の米金融市場では株式相場が下落。S&P500種株価指数は週間ベースで約2カ月ぶりの大幅安となった。トランプトレードは失速。連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げペースの減速を余儀なくされるとの見方が市場で広がった。
株式
終値
前営業日比
変化率
S&P500種株価指数
5870.62
-78.55
-1.32%
ダウ工業株30種平均
43444.99
-305.87
-0.70%
ナスダック総合指数
18680.12
-427.53
-2.24%
S&P500種はこの日の安値からやや戻して引けた。ハイテク株の下げが目立った。週間では2.1%安となり、同指数は米大統領選挙後に上昇した分の半分以上を失った。12月連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが決定するのは、五分五分よりやや高い確率と市場ではみられている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要はないとの見方を示したほか、この日発表された10月の米小売売上高統計では、前月の数字が大きく上方修正された。
トランプ氏当選の直後に広がった陶酔感は薄れ始め、同氏が進める財政計画やそれによるインフレ再加速の可能性が投資家の間で認識されるようになった。
バンクSYZのシャルルアンリ・モンシャウ最高投資責任者(CIO)は「財政赤字と債務が拡大する可能性に加え、インフレ面で犠牲を強いるだろう」と指摘。「代償を支払うという認識が広がり始めた」と述べた。
ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は週間で3%余り下げた。大型ハイテク株7銘柄で構成するいわゆる「マグニフィセント・セブン」はマスク氏のテスラを除く6銘柄がこの日は下落。アマゾン・ドット・コムとエヌビディア、メタ・プラットフォームズの下げはいずれも3%を超えた。アプライド・マテリアルズは売上高見通しが失望を誘い、1カ月ぶりの大幅安。
大統領選直前からこれまでのS&P500種株価指数
出所:ブルームバーグ
パウエルFRB議長は14日、「現在、われわれが目にしている経済の強さにより、慎重な決定を行うことが可能になっている」と述べた。この発言を受けて、市場ではすでに12月利下げへの期待が後退し始めていた。ボストン連銀の
コリンズ総裁は15日、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、いずれ利下げペースを減速させる必要があるとしつつ12月会合での利下げについては「確実に選択肢」だと述べた。
アストリア・ポートフォリオ・アドバイザーズの創業者ジョン・ダビ氏は「市場は割高になっている。昨夜のパウエル氏によるスピーチは基本的に、FOMCが利下げを急ぐ必要性を感じていないと言いたいのだと思う。きょうの市場で売られているのはそれが最大の理由だろう」と電話インタビューで述べた。「金利が上昇すれば、その分株式のリスクプレミアムは債券に有利な方向に傾く」と続けた。
動画:ボストン連銀のコリンズ総裁
出所:ブルームバーグ モデルナやファイザーなど医薬品メーカーの株は下落。トランプ氏が厚生長官のポストにワクチン懐疑主義のロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表した。
米国債
一連の強い経済データを受けて12月の米利下げ見通しが後退し、米国債市場では朝方に利回りが上昇。市場では投資妙味が高まったと受け止められた。
国債
直近値
前営業日比(bp)
変化率
米30年債利回り
4.62%
3.4
0.75%
米10年債利回り
4.44%
0.6
0.14%
米2年債利回り
4.30%
-4.4
-1.01%
米東部時間
16時55分
9月の米小売売上高が大幅に上方修正されたことが影響し、10年債利回りは一時、5月以来の4.5%超えとなった。その直後に大型の取引が10年債先物に入り、少なくともトレーダー1人は割安だと判断したことが示された。利回りは数時間後には4.43%付近に下げ、この大型取引の価値を約500万ドル押し上げた。
10年債利回り
出所:ブルームバーグ 利回りがこの日の高水準から一段と下げた背景で、原油価格と米株価指数の下落が債券の需要を喚起した。10年債利回りは約4.40%まで下げ、2年債利回りはこの日の高水準から一時約10bp下げて4.27%付近に低下した。
ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「10年債利回りで4.5%というのは信じがたいほど魅力的だ」と語る。「しかも株式相場が下げており、米国債には健全な逃避需要がみられる」と述べた。
債券相場が安定を取り戻すにつれ、市場が織り込む12月利下げの確率は約60%に回復した。
グローバル・マクロ&マーケッツのストラテジスト、ボブ・シンチ氏は「米金融緩和を後押しする材料はほとんどない」と話す。「パウエル議長の発言で12月利下げの必要性に対する不透明感が広がった。この日のデータは目先の利下げを確信持って裏付けるものではない」と続けた。
シカゴ連銀の
グールズビー総裁は、インフレ率が目標とする2%に向けて減速を続ける限り、金利は向こう1年-1年半で「大幅に」低下するとの見方を示した。
Traders Grow Less Confident in December Rate Cut
Markets see just over a 50% chance of quarter-point reduction next month
Source: Bloomberg
Note: Data as of 1:30 p.m. New York time on Nov. 15, 2024.
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ギー・ラバ氏は来月に金利が25bp引き下げられる可能性は高いが、そこから先は予測が難しいという。
「1月は何事もなく終わるように思う」とラバ氏。「FOMCはその時点で利下げペースを緩めるのではないだろうか。四半期に一度の利下げペースかもしれない」と述べた。
ブルームバーグがまとめる米国債市場のリターン指数は、今週は低下。年初からはわずか0.6%の上昇。
外為
外国為替市場のドルは下落。週間ベースでは7週連続高となり、2月以来の長期上昇局面。円は1%余り上昇し、一時は対ドル153円台となった。
為替
直近値
前営業日比
変化率
ブルームバーグ・ドル指数
1285.72
-2.71
-0.21%
ドル/円
¥154.45
-¥1.82
-1.16%
ユーロ/ドル
$1.0534
$0.0004
0.04%
米東部時間
16時55分
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は週間ベースで1.4%上昇した。
この日発表された米
小売売上高統計では、9月の数字が大幅に上方修正された。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のストラテジストらは「ドル上昇の勢いは週末にかけて一部そがれたものの、経済を揺さぶりかねないトランプ氏の政策アジェンダは実行されそうであることが、同氏の政権トップ人事に示唆されている」とリポートで指摘した。
ブルームバーグ・ドル指数
出所:ブルームバーグ ドルは対円で一時1.5%下げ、153円86銭まで売られた。加藤勝信財務相は「足元では一方的、また急激な動きが見られる」と述べ、「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と市場をけん制した。
原油
ニューヨーク原油先物は4日ぶりに反落。ロシアとウクライナの緊張が和らぐ兆候が示されたことをきっかけに、今後の供給過剰に備えたポジションを構築する動きが広がった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は9月以来の安値で終了した。
ロシアを和平に向かわせるための行動をウクライナが呼び掛けたとの報道が一部にあり、原油市場はそれに反応した。仮に和平交渉が進展して戦争が終結した場合、輸送コストが低下して原油価格が下落する可能性があると市場関係者はみている。特に欧州がロシア産原油の受け入れを再開した場合、そうした状況が予想されるという。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「売り、またはショートにするための口実を皆が探している」と述べた。
WTI先物
出所:NYMEX CNNによると、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラは停戦案について検討している。レバノンでのイスラエル軍による攻撃を終わらせ得る提案で、これもリスクプレミアムの縮小につながった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比1.68ドル(2.4%)安の1バレル=67.02ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント1月限は1.52ドル(2.1%)下げ、71.04ドルで引けた
金
金スポット相場は前日比ほぼ横ばいで、2カ月ぶり安値近辺での推移となった。週間ベースでは2021年6月以来の大きさで下落。来月の米利下げ観測の後退が影響した。
スポット価格は週間で4%を超える下げ。パウエルFRB議長が利下げを急がない姿勢を前日に示したことを受け、12月FOMCでの利下げ見通しが後退した。利息の付かない金にとっては通常、金利低下がプラス材料となる。
金スポット価格の週間騰落
出所:ブルームバーグ スポット価格は10月31日に付けた日中ベースの最高値から8%ほど下落。トランプ氏の大統領選勝利が明らかになった先週、ドル上昇に弾みがつき、金スポットの下げが加速した。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時38分現在、前日比0.1%安の1オンス=2563.31ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は2.80ドル(0.1%)下落し、2570.10ドルで引けた。
原題:
US Stocks Erase More Than Half Post-Election Gains: Market Wrap(抜粋)
Treasury Yield Surge Draws Buyers After 10-Year Tops 4.5%(抜粋)
Dollar Pares Weekly Gain, Yen Jumps More Than 1%: Inside G-10(抜粋)
Oil Snaps Brief Rally as Cooling Geopolitics Trigger Friday Drop
(抜粋)
Gold Faces Worst Week Since 2021 as Fed Signals No Rate-Cut Rush(抜粋)






