アジアのヘッジファンドは2024年に成績が回復し、多くのファンドが2桁台のリターンを上げた。中国株の回復や日本株の最高値更新がリターンを押し上げたほか、運用者らが利益の出る多様な取引を展開した。
アスペックス・マネジメント(香港)、パンビュー・キャピタル、
クラウドアルファ・キャピタル・マネジメントなどが運用する株式ファンドが、35%超の年間リターンを記録した。
好成績ファンドの多くは、アジア外も含む人工知能(AI)関連やその他のテクノロジー企業への投資が奏功した。株式、債券、通貨、商品市場で取引を行うマクロファンドでは、
オーシャン・アレテのファンドが少なくとも10%台後半の利益を出した。
ユーリカヘッジのデータによると、アジアのヘッジファンドが世界平均に並んだのは2020年以来。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、地政学的な緊張、中国の民間セクター取り締まりによって多くのファンドが損失を出した3年間の低迷に終止符が打たれた。
Asian Hedge Funds Bounce Back From Three-Year Trough
Regional returns kept pace with global peers' for the first time since 2020
Source: Eurekahedge Pte.
MSCI中国株指数は21年2月に付けたピークの半分にとどまっているものの、政府の景気刺激策が低迷する経済を活性化させるという期待から、昨年は16%近く上昇した。日本のTOPIXは、AIブームとコーポレートガバナンス改革に後押しされ、24年にさらに18%上昇。インドのセンセックス指数は8.2%上昇した。
テクノロジーへの賭け
昨年6月までに資産が90億ドル(約1兆4000億円)に達したエルメス・リー氏のアスペックスは年間で38%近いリターンを達成した。事情に詳しい関係者が明らかにした。各国のテクノロジー、工業、消費財、金融銘柄の取引が奏功したと関係者は付け加えた。それ以上の詳細については明言を避けた。
元ゴールドマン・サックス・グループの自己勘定トレーダー、ライアン・ソール氏が率いるパンビューの年間リターンは41%と、同社にとって過去最高。19年11月に運用を開始した同ファンドは6年連続でプラスリターンを上げ、資産は約15億ドルに達していると、事情に詳しい人物が匿名を条件に述べた。
昨年12月末時点では、パンビューの投資の大半は中国本土と日本の株式に集中していたが、昨年の利益の大きな部分をもたらしたのはアプロビンへの強気のポジションだった。パンビューの書簡などによれば、米国のデジタルマーケティング企業であるアプロビンは機械学習モデルによる広告費の収益率向上を追い風に市場シェアを拡大し、顧客基盤を広げている。同社株は昨年700%以上も急騰した。
Double-Digit Asia Hedge Fund Returns Are Back in Force
Regional returns keep pace with global average on tech, China rebound
Sources: Bloomberg reporting and investor updates
Note: Fund performances may vary by share class due to different fee structures
クラウドアルファ・テック・ファンドは、生成AIインフラおよびアプリケーション企業への投資、特に米国での投資が原動力となり、77%のリターンを達成した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
クレジットラリー
アジアの高利回りドル建て債市場のセンチメントは、昨年も改善が続いた。21、22両年は中国不動産デベロッパーの相次ぐ経営難とデフォルト(債務不履行)により投資家が大きな打撃を受けたが、低迷期を脱しつつある。
L&Rアジア・クレジット・アルファ・ファンドは、中国、インド、インドネシア、日本、オーストラリア、モンゴル、香港など、アジア全域のさまざまな業界のクレジット商品の積極的な取引により25%のリターンを上げた。
昨年は、韓国のポスコ・ホールディングス、台湾の鴻海精密工業、中国の
舜宇光学科技集団(サニー・オプティカル・テクノロジー・グループ)などの企業の株価変動により、転換社債が有利な取引となった。
米国への警戒
アレテ・マクロ・ファンドは24年に17.8%の利益を上げ、過去10年間で最高の年になったと、事情に詳しい関係者が述べた。政府の景気刺激策を見越した中国株に強気の投資や、世界最大の経済大国の強さを根拠としたドル高への賭けが奏功した。
ただ、米国株の上昇はアジア全域のヘッジファンドのリターンを押し上げる要因となっているものの、運用者は「米国例外論」の持続可能性について疑念を強めている。
「われわれのキャリアにおいて、米国株が好パフォーマンスを上げ続けるというコンセンサスがこれほど世界で一致していた時期は記憶にない」とパンビューのチームはニュースレターに記し、バリュエーションが過去最高に近いことと、センチメントが強気過ぎることを不安材料として指摘した。
原題:
Asia Hedge Funds Post Biggest Annual Returns Since the Pandemic(抜粋)
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