カナダのコンビニエンスストア大手、
アリマンタシォン・クシュタールは16日、日本の
セブン&アイ・ホールディングスに対する買収提案を断念した。同社の野心的な試みは、自社の事業環境の悪化と株価下落の長期化に押し負ける形となった。
クシュタールは、日本での宣伝活動や消費者へのアピールに加え、独占禁止法への懸念を回避するため、米国にある2000店舗超の売却を検討するなど、約1年にわたり、買収に向けた粘り強い取り組みを続けていた。また、セブン&アイの株価(提案前)に対し約48%のプレミアムを付けた買収額6兆7700億円について、引き上げる意向も示していた。
だが、時間の経過とともに、交渉妥結の可能性は次第に低くなっていった。クシュタールは6月時点でも進展に前向きな姿勢を見せていたが、最終的には、セブン&アイ側の妨害的な対応と、クシュタール自身の経営悪化が重なった。
クシュタールは発表文で、セブン&アイの対応に対する不満を1500語にわたり綴った。セブン&アイは発表した声明で、クシュタールによる提案の撤回について「失望しているが、驚きはない」と述べ、クシュタールからの書簡に含まれていた「多数の事実誤認」に異議を唱えた。
クシュタールの株価は17日、一時18.5%高と、2002年以来の上げ幅となった。
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クシュタールの株価が年初から14%下落する難しい局面にある中、長引く買収交渉は状況をさらに複雑にした。米国店舗での消費額の減少が投資家の懸念を呼び、インフレと需要低迷は、セブン&アイの北米店舗にも影響した。
BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、タミー・チェン氏は顧客向けのリポートに「多くの投資家はすでに、取引が成立する可能性は低いと見込んでいた」と記した。クシュタールが1年間にわたって現金を蓄積してきたことから、自社株買いが再開される見込みで、「今後は引き続き一定の圧力を受けている既存事業に注目が移る」との見通しを示した。
スティーフルのアナリスト、マーティン・ランドリー氏は「この大型取引に伴う圧迫材料や不確実性、リスクが取り除かれるため、クシュタールの買収断念の決定は、投資家に歓迎されるだろう」と述べ、同社の株価が持続的に上昇するためには、「1株当たり利益の成長が必要だ」と指摘した。
執拗なフクロウ
クシュタールによるセブン&アイへの執念深い買収の試みは、創業者アラン・ブシャール氏の性格を如実に表している。それだけに、今回の提案撤回は同社にとって大きな失望だ。
2016年にブシャール氏の伝記を出版したギ・ジャンドロン氏は「彼は忍耐強いことで知られているが、ここまで非協力的な相手と交渉することはほとんどなかった」と語る。
アリマンタシォン・クシュタール創業者のアラン・ブシャール氏(3月、東京で)
Source: Bloomberg 故郷ケベックの1店舗からスタートしたブシャール氏は、やがて米国で「サークルK」ブランドを業界2位の規模にまで成長させた。セブン&アイの買収が実現していれば、日本企業に対する外国企業による過去最大の買収となり、世界全体で10万店舗を超える巨大コンビニエンスストアチェーンが誕生するはずだった。
ブシャール氏は2005年頃にも、セブン&アイの米国事業の買収を模索し、初期的な働きかけをしていたが、伝記によるとこの提案はすぐに拒否された。
クシュタールにとっては、今後も合併・買収(M&A)による成長が有力な選択肢として残る。アレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)は6月、「現在もいくつかの案件を進めている」と述べ、引き続き買収機会を模索していると明かした。
今後の買収は、セブン&アイのような巨大案件より控えめな規模になると見られている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、ダイアナ・ロセロペーニャ氏によると、クシュタールは今後100億ドル(約1兆4800億円)規模の買収に対応できる余力を持ち、レバレッジを拡大すれば最大250億ドル程度の取引も視野に入るという。
ジャンドロン氏の著書には、ブシャール氏の共同創業者の1人、リチャード・フォルタン氏の言葉として、次のような一節が記されている。「我々のロゴはフクロウだ。枝に止まり、数字を見つめ、獲物が十分に弱そうだと見極めた時に襲いかかるんだ」。
原題:
Couche-Tard Couldn’t Outlast Seven as Its Own Headwinds Grew (1)






