新興国市場の現地通貨建て債にとって今年は有望な1年になると思われていたが、急速に状況が悪化している。ドル高とトランプ米政権の関税政策を踏まえ、ファンドマネジャーが新興国資産への投資を再考している。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が1月下旬に開いた会合では追加緩和が見送られ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は
利下げを急がないとの考えを示した。投資家の間に転換点が近いのではないかと懐疑的な見方が広がった。チリとスリランカ、ハンガリーは先週、インフレリスクの再燃を理由に政策金利を据え置いた。
トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争がドルと世界経済に与える影響により、新興国市場の見通しは複雑化。ルーミス・セイレスなど一部の運用会社はすでに、2025年の年初にドル建て債を上回るパフォーマンスを見せていた新興国の現地通貨建て債へのエクスポージャーを削減。同社は今、新興国のハードカレンシー債を選好している。
ルーミスの新興国市場債ブレンデッド・トータル・リターン戦略を共同で統括するピーター・ヤヌリス氏は、「リスク調整後ベースでハードカレンシー建て債が現地通貨建て債よりも優れているという具体的な事例がある」と述べた上で、「転換点と呼ぶには早過ぎる」と指摘した。
ブラックロックの新興国市場債責任者を務めるマネジングディレクター、アマー・ビサット氏は、「新興国通貨建て債にあまり期待していない」と明らかにし、「金利やドルの方向性が見えない現状では、われわれは人質のようなものだ」と語った。
こうした警戒感は、最近のファンドフローなどで顕在化している。投資家は今年に入り現地通貨建て債ファンドから10億ドル(約1530億円)近くを引き揚げており、トランプ政権が始まった最初の週に最大の流出を記録した。
Your browser does not support the audio element.
新興国市場で現地通貨建て債への期待が後退
原題:
Hopes for EM Debt Dashed as Dollar, Fed Path Cloud Outlook (1) (抜粋)







