欧州中央銀行(ECB)はインフレ目標を達成したが、外国為替相場や商品市場の不安定さが今後の物価見通しを不透明にしている。ECB政策委員会メンバーのシムカス・リトアニア中銀総裁がこう指摘した。
シムカス氏は6月30日のインタビューで、対ドルでの急速なユーロ高や中東情勢の緊張を受けたエネルギー価格の変動によって、インフレ率は2%目標を再び外れる可能性があるとし、目標を下回るリスクのほうが上回るリスクよりも大きいとの見解を示した。
シムカス氏は「インフレの見通しは依然として脆弱(ぜいじゃく)だ。われわれの予測の前提が本当にその通りに実現するかどうかは確信が持てない」と、ポルトガルのシントラで開催されているECBの中銀フォーラムの合間に語った。
インフレ率は現在2%近辺で、ECBの当局者は目標を達成したと自信を示す。最新の見通しでは、インフレ率は来年2%を一時的に下回るが、2027年には再び目標水準に戻るとされている。
中東情勢の緊張やトランプ米大統領の通商政策で、先行きの不確実性は依然として大きく、投資家のドル不信もユーロ高
要因となっている。通貨高はユーロ圏の輸入物価を押し下げ、輸出競争力にも響くことでディスインフレ(物価上昇率の低下)要因となる。
シムカス氏は「ユーロの上昇スピードをわれわれは注視しなければならない。歴史的に見れば現在の為替水準は異常ではないが、その調整のペースは軽視できない」と述べた。
同氏はさらに、金利が景気を刺激も抑制もしない中立水準にあるため、据え置きが今月の決定会合における最有力シナリオだとの見方をあらためて示した。24年6月以降の8回にわたる利下げ後、9月に最後の利下げが実施されるというエコノミストの予想とも整合している。
トランプ政権が貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の一時停止期限が今月9日に迫る中で、米国と通商交渉を続ける欧州連合(EU)の大半の製品に課されている10%関税を見過ごすべきではないとしたうえで、シムカス氏は「関税による経済への影響の大半は、これから間違いなく顕在化してくる」と述べた。
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原題:
ECB’s Simkus Warns of Fragile Inflation Path Due to Euro, Energy(抜粋)






