日本銀行の中村豊明審議委員は5日、賃上げの持続性に懐疑的な見方を示し、金融政策の緩和度合いを慎重に調整する考えを示した。広島県金融経済懇談会で講演した。
中村氏は、日本経済の抱える構造的な問題や中小企業を中心に投資の回復が遅れているため、「私としては、まだ賃上げの持続性に自信を持てていない」と指摘。その上で、「金融政策は多くのデータを確認し、経済の回復状況に応じて金融緩和の度合いを慎重に調節していくことが重要な局面だ」と語った。
中村豊明日銀審議委員
Source: Bloomberg 日銀は、経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続ける方針を示している。植田和男総裁は先月28日の日本経済新聞との
インタビューで、データは想定通りで追加利上げの時期が近づいていると述べる一方、賃上げと米国経済の動向を見極めたいとの見解を示した。3月のマイナス金利解除や7月の追加利上げに反対票を投じたハト派の中村委員が、引き続き早期の利上げに慎重な姿勢を示した形だ。
中村氏の発言後、外国為替市場の円相場は対ドルでやや円安方向に振れ、一時1ドル=150円60銭台後半を付ける場面があった。午前11時25分時点では発言前とほぼ変わらずの150円30銭前後で推移している。市場では、日銀が今月の決定会合で追加利上げを決定するとの期待が高まっていたが、一部の国内メディアによる否定的な報道で急速に後退。外国為替市場で円安圧力となっている。
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中村氏は、2%の物価安定目標の持続的・安定的な達成には企業の稼ぐ力の向上が必要との持論を改めて表明し、「これには相応の時間がかかる」との認識を示した。一方で、物価上昇に負けない賃上げと投資がけん引する成長型経済への変革の芽が出ているとも述べ、多くのデータやヒアリング情報で、経済の回復状況を丁寧に確認していきたいと語った。
Source: Bloomberg Economics; Photos: Bloomberg, Bank of Japan, Senshu University, Nomura Holdings, Inc.消費は力強さ欠く
消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の動向については、「私自身は、2025年度以降は 2%に届かない可能性があると考えている」と指摘した。日銀は10月に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、25・26年度のコアCPIは2%程度で推移する見通し(政策委員見通しの中央値)を示している。
個人消費に関しては、「物価上昇や節約志向の影響などにより、力強さに欠けている」と分析。設備投資計画が先送りされる可能性や、中国をはじめとする海外経済の下振れなども勘案し、経済成長率見通しについては政策委員見通しの中央値より低い伸び率を想定していると語った。
他の発言
日本経済は一部に弱めの動きあるも、緩やかに回復
経済の先行きは潜在成長率を上回る成長続けると予想
米国経済はソフトランディング期待が高まっている
インフレが再燃するリスクにも注意必要-米経済
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(詳細を追加して更新しました)
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