野村証券は6日、元社員が2024年1月に発生した詐欺容疑で警視庁に逮捕されたと発表した。
同日午後にオンラインで説明会を開いた飯山俊康副社長は「被害に遭われたお客さまや関係するすべての皆さまに多大なる心配をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。
逮捕された元社員は当時、本店で個人や法人向けに資産管理に関する助言業務を担当していた張湧太容疑者(30)。200強の顧客を担当していた。昨年3月末以降に同証からグループ会社に出向し、同6月末に自己都合で退職した。会社側では、同容疑者の退職後に顧客からの相談を受けて事案を把握。警察に連絡したという。
警視庁の発表によると、張容疑者は24年1月22日から23日にかけて東京都中野区の70代女性に対して、社員向けの積立金制度があり、「年2%の利率をつけて返済できる。元本は必ず保証される」などとうそを言い、自身の口座に1000万円を振り込ませた疑い。今月4日に逮捕した。
野村証を巡っては、社員による不祥事が相次いでいる。昨年11月には元社員が顧客に対する強盗殺人未遂などの罪で起訴された。社員だったトレーダーによる国債先物の相場操縦も発覚し、同10月末には金融庁から課徴金納付命令も受けている。
強殺未遂事件を受けて、社員による顧客訪問に関しては事前承認に加え、管理者が同席するか訪問前後に管理者が顧客と電話で確認を取るなどの再発防止策を昨年12月に打ち出した。同防止策は今回の逮捕事案も踏まえて策定したものだという。
すでに野村証の奥田健太郎社長らが役員報酬の一部を自主返上しているが、今回の逮捕を受けた経営陣に対する追加の処分は検討していない。対応策の策定後、顧客への聞き取り調査などから、強殺未遂事件と今回の詐欺容疑での案件以外についての不祥事は出てきていないという。
不祥事が相次いでいることについて飯山副社長は「原因というのはなかなか難しい」と説明。不正事案が起きないよう「対策をずっと行ってきたが、それでも起きてしまったということを重く受け止めている」とし、引き続き着実に対応策を実行していくと述べた。
親会社である
野村ホールディングス(HD)の北村巧財務統括責任者(CFO)は今月5日のアナリスト向け決算電話説明会で、顧客訪問時のルールを厳しくした影響で新規顧客の開拓については「ややスローダウンしている」との認識を示していた。
米モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、証券各社がこうした不祥事を完全になくすことは困難だとしながらも、「一つの不祥事で築き上げた評判を広く傷つける可能性がある」として、未然に防ぐための管理体制の重要性を指摘した。
野村HDのきょうの株価は、前日発表した好決算を受けて一時前日比8%高の1080円と約16年ぶりの高値を付けた。元社員の逮捕が報じられた後の午後の取引では上げ幅を縮小し、同3.8%高の1037.5円で取引を終えた。
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(内容を追加して記事を更新します)
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