新興市場国の現地通貨建て債券が、ドル建ての新興国債券をアウトパフォームするとの見方がここにきて強まっている。
原油価格下落に伴うインフレ圧力の緩和に加え、国際貿易を巡る混乱で新興市場国における利下げ観測が強まっていることが追い風となっている。現地通貨建て債は今年に入り、2022年以来、最も好調なスタートを切った。
半面、トランプ米大統領による関税を巡る発言がドルの重しとなり、ドル建て債は精彩を欠いている。
グローバルデータTSロンバード(ロンドン)の新興国マクロ戦略マネジングディレクター、ジョン・ハリソン氏は、ドル安基調と新興国中銀が利下げに動きやすくなるとの見通しから、「新興国債券ではドル建てよりも現地通貨建てを強く選好している」と指摘。
また「米経済の減速、およびリセッション(景気後退)リスクの高まりは世界経済にとって逆風であり、新興市場国の中銀による追加利下げをさらに促すだろう」と続けた。
ブルームバーグの指数によると、新興市場国の現地通貨建て債券は年初来で3.2%のリターンを記録。ドル建て債の0.7%を大きく上回っている。
この結果、リスクが高いとされる現地通貨建て債券の利回りが、通常は安全資産とされるドル建て債よりも低い水準で取引される異例の状況に陥っている。現地通貨建て債指数の平均利回りは4.03%まで低下し、ドル建て新興国債指数の7.1%、米国債指数の4.12%を下回っている。
足元で現地通貨建て債の大きな追い風となっているのが、新興国の中銀が金融緩和に動くとの観測だ。トランプ大統領の上乗せ関税発表に伴う世界的な混乱が背景にある。
ブルームバーグのデータによると、18の新興市場国を対象とした1年物金利スワップの指数は4月だけで約15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。月間では昨年9月以来の大幅な下げとなる見通しだ。
ドルの先行きに対する懸念の高まりから、ドル建て債の発行を控える動きも出てきた。
ブルームバーグの集計によると、中国を除く新興市場国によるドル建て債券の発行額は月初来で前年同期比36%減の51億ドル(約7200億円)にとどまっている。
原題:
Threat to US Exceptionalism Spurs Rush for Emerging Local Bonds(抜粋)






