オフィス不動産価値の低迷は米国の銀行業界に波及しており、特に中小の金融機関では商業用不動産(CRE)債権におけるローン変更が増えている。
ムーディーズ・レーティングスのリポートによると、資産規模1000億ドル(約15兆3700億円)未満の典型的な銀行では、今年1-9月にCREローンの0.32%を修正。これはわずか0.1%程度だった今年上期(1-6月)からは大幅な増加だ。
だが、これは他の種類の貸し手が修正した割合よりもはるかに低い。同リポートによると、中堅銀行の場合は1-9月に1.93%、大手銀行では0.79%の割合だった。この差は恐らく、中小銀行がより良い融資を行ったからではなく、むしろ商業用不動産価格下落への対応が遅かったためだと考えられる。
ローンの変更は通常、苦境にある家主が支払いを先延ばしにしたり、ローンの短期的な延長を得たりするために行われる。その利用が増加しているのは、一連のローンの借り換え時期を迎え、CREクレジットにおける苦境が増していることを示す最新の兆候と言える。
主に注目されているのは地方銀行だ。こうした銀行は2022年の米利上げ開始までの数年間、一段と規模の大きい同業に比べ頭金を低く抑えることが多かったため、特に脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。これは、オフィスや集合住宅の価値がピーク時から少なくとも20%下落した後、損失計上までのバッファーが少ないことを意味する。
一方、銀行ストレステスト(健全性審査)やその他の厳しい規制の対象となっている米大手金融機関はこれまでのところ、中小銀行よりも不良債権をカバーするための資金を多く確保していると、フロリダ・アトランティック大学のファイナンス教授で、オークツリー・キャピタル・マネジメントのアドバイザーも務めるレベル・コール氏は話す。
将来の損失の可能性を巡る懸念は、中小銀行の株価低迷の一因となっている、KBSナスダック・グローバル・バンク指数が今年に入り約30%上昇しているのに対し、KBW地方銀行株指数は約17%の上昇にとどまっている。
フロリダ・アトランティック大のコール氏は、今後1年間で約5000億ドルのCRE住宅ローンが満期を迎え、そのかなり多くの部分がデフォルト(債務不履行)に陥るだろう」と予想。「投げ売りされることになり、商業用不動産価格は全体的に下落圧力が強まる」との分析を示した。
連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ総裁は12日、銀行システムにおけるオフィスや集合住宅を含む一部のローン・ポートフォリオの弱さについて引き続き注意深く監視する必要があると警告した。
Office CMBS Loan Delinquencies Are Spiking
Total Delinquency %
Source: Bloomberg
原題:
Office Property Meltdown Begins to Show for Banks: Credit Weekly(抜粋)






