20日の日本市場は長期金利が低下(債券相場は上昇)した。植田和男日本銀行総裁の利上げに慎重なハト派姿勢は予想以上だとの見方が広がり、金利上昇が遠ざかったとみられている。
植田日銀総裁(19日、日銀本店)
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg 新発10年債利回りは一時1.03%と1週間ぶりの水準に下がった。追加利上げを見送った19日の金融政策決定会合後の会見で、植田総裁は追加利上げの判断にはもう1ノッチ(段階)欲しいなどと語り、年明けの利上げ示唆もしなかった。金利低下から円は売られた後、金融当局のけん制発言もあって上昇に転じた。株式は銀行株を中心に下落した。
植田総裁の会見を受けて日銀利上げ予想は急速に後退、金利スワップ市場では来年1月会合での確率は3割台(18日は1月までで6割台)に低下した。1月会合は米トランプ新政権発足直後である上、日本の春闘の動向も十分に把握できないことから3月予想も少なくない。利上げ自体不要との声さえ出ている。
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野村証券の森田京平チーフエコノミストはリポートで、植田総裁会見について「想定よりもハト派だった」と指摘した。春闘に向けて賃金動向をより慎重に見極めたい姿勢が強く感じられ、円安を受け入れる用意があるかのような姿勢も感じられたという。野村証は日銀利上げシナリオを変更、次回は3月を見込む。
日本の債券・為替・株式相場-午後3時半過ぎ
長期国債先物3月物の終値は前日比33銭高の142円47銭
新発10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.05%1.03%まで一時低下
新発5年債利回りは6bp低い0.68%と11月13日以来の水準に一時低下
円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%高の156円88銭
東証株価指数(TOPIX)の終値は0.4%安の2701.99
日経平均株価は0.3%安の3万8701円90銭
債券
債券相場は大幅上昇。日銀の植田総裁の会見がハト派的だったことから来年1月の利上げ観測が後退、買いが優勢になった。日銀の国債買い入れオペ通知も相場上昇を後押しした。
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、債券市場は1月利上げ見送りで動き始めており、「3月まで利上げがないとなると買わざるを得ない」と指摘。植田総裁の会見については「1月の見送りをはっきり言っているような内容で、ある程度の円安進行は仕方がないという政治に対するメッセージでもある」との見方を示した。
日銀は定例の国債買い入れオペを通知した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。オペ結果によると、応札倍率は残存1-3年と3-5年が前回から上昇した一方、5-10年と10-25年は低下した。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、中期債の利回りが大きく低下したとして、「総裁会見のインパクトを最も受けた」と指摘。為替市場で円安が加速すれば7月のような利上げの可能性もあるとみるが、投資家は「1月の利上げが見送られるリスクも考えながら動いているのではないか」との見方を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債
5年債
10年債
20年債
30年債
40年債
0.565%
0.695%
1.045%
1.845%
2.250%
2.625%
前日比
-4.0bp
-4.5bp
-3.5bp
-3.0bp
-2.0bp
-1.5bp
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台後半に上昇して推移。日米の金融政策決定を通過してクリスマス休暇を来週に控える中、持ち高調整の円買い戻しが優勢となっている。三村淳財務官が足元の円安進行に対して市場をけん制したことも円買いを促した。
三村財務官
Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は円相場について、実需の売買一巡後は来週の休暇を見据えて円売りのポジションの持ち高を調整する動きが主導していると指摘。三村財務官のけん制も円買いの流れを後押ししたと語った。
もっとも156円台で円の上値は重い。大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、円安とドル高の両方の力が働いており、強い円安・ドル高基調と介入警戒感のせめぎ合いになっていると語った。
株式
株価指数は6日連続で下落した。現在の為替水準や低金利が自動車株や不動産株の追い風になる一方、金融株が下落した。トヨタ自動車とソニーグループがTOPIXの上げに寄与したが三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループといった銀行株が足を引っ張った。
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SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、銀行株が弱いのでTOPIXが影響を受けたと述べた。
KADOKAWA(カドカワ)株がストップ安となる700円(16%)安の3689円で取引を終えた。ソニーGが資本・業務提携で約10%を保有する筆頭株主になると19日に発表したが、市場ではプレミアム付き株式公開買い付け(TOB)への期待が高まっていたため、ネガティブサプライズだったとジェフリーズ証券アナリストのアツール・ゴヤール氏らは指摘した。
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この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
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