悪化する貿易戦争への懸念が米国資産への需要を押し下げる中、ドル指標は一時持ち直したものの、再び下落している。
ドルは16日、G10通貨のすべてに対し下落し、6カ月ぶりの安値となった。トランプ米大統領が、エヌビディアの半導体輸出に新たな規制を導入したことを受け、リスクオフの意識が強まった。中国が、米国が一定の措置を取れば貿易交渉をする用意があるとしたとの
報道を受け、下げ幅は若干縮小している。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のシニア為替ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は、「不確実性や、さらなる関税に関する発言が、米国資産を回避しドルを売る動きに拍車をかけている。貿易戦争が激化し、世界の経済成長が低迷する中でも、ユーロやスイスフランが有力な受け皿となっている」と指摘した。
長期ボラティリティー投資への需要が増す一方、スイスフランや円といった安全通貨も、ユーロと共に上昇している。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、15日に6日ぶりに上昇した後、16日に一時0.6%下落した。
貿易戦争による米国の景気後退と、伝統的な安全資産としてのドルの魅力に対する疑念が深まる中、同指数は4月に入り3%以上も下落しており、2022年後半以来の大幅な月間下落となる可能性がある。
ジェフリーズのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、モヒト・クマール氏は顧客向けのリポートで、「ドル高の時代はピークを過ぎ、ドル安が今後も続くだろう。私たちが考えるシナリオでは、中央銀行が米ドル以外の代替通貨への分散投資を模索する中で、金が長期的に上昇するだろう」との見通しを示した。
米国資産への信頼が揺らいでいることを示す兆候は他にも見られる。先週は、中国などの外国保有者が、米国債の保有を減らしているとの懸念が広がり、米国債は過去20年以上で最悪の下げ幅を
記録した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の
調査によると、ファンドマネジャーらのドルの見方は、2006年以来最も弱気になっている。その見方は今やオプション市場にも波及している。トレーダーらは向こう12カ月間のドル安に備え、5年ぶりにプレミアムを払い、ヘッジポジションを取っている。
市場のセンチメントとポジショニングを示す主要なオプション指標の1週間物リスクリバーサルは、過去最悪の弱気水準に近い値で推移し、同様の傾向を示している。ボラティリティ指標は、トレーダーらが当面の市場の安定を見込んでいないことを示唆している。一部のトレーダーは、レバレッジをかけたオプション戦略で、相場が
緩やかに下落していく展開を見越したポジションを取っている。
原題:
Dollar Hits New Six-Month Low as Trade War Fears Hurt US Assets(抜粋)







