
昨日発表された米国経済に関する5つの主要ニュースから、2025年後半の展望を解説します。株式市場は力強い上昇を見せる一方で、FRB(連邦準備制度)の政策動向、米国債金利、財政赤字や貿易政策など様々なリスクも浮上しています。本稿では、労働市場の底堅さや消費動向から、対中関税や金利見通しまで、2025年後半の米国経済を多角的に考察します。
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2025年後半の米経済市場展望:株価上昇とその持続性
2025年前半は株式市場が大きく上昇し、S&P500が短期間で18%超の急騰となりました。過去6回の同様のケースでは、その後250営業日で平均30%の追加上昇例もあり、今回も強い地合いが続く可能性が示唆されています。ただし、5月のISM製造業・サービス業調査では軽度の縮小も見られ、短期的な数値に振り回されず全体トレンドを見極める姿勢が重要です。労働市場は堅調で、5月には非農業部門で13万9千人の雇用増を記録し、市場予想を上回りました。消費も冷え込む兆しは現れていません。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)
FRBのハト派転換からタカ派姿勢へ:政策金利動向とその影響
直近のFRB(連邦準備制度)の会合では、インフレ抑制への慎重な姿勢からややタカ派寄りの政策金利見通しが強調されました。これは市場にとってサプライズではないものの、引き締めムードの継続で株価に一定の調整圧力もかかりそうです。金利の変動性増加も予想され、資産運用や企業の資金調達環境にも影響が及ぶ可能性があります。(出典:Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern)
米国債市場と財政赤字の懸念
米国債30年物金利は5月に5.15%まで急上昇し、18年ぶりの高水準となりました。これは連邦政府の財政赤字や利払い負担増が市場に警戒感を与えているためです。著名投資家レイ・ダリオ氏は、財政赤字をGDP比3%以内に抑制すべきと提言しており、米国債の信用維持には中長期的な財政運営への目配りが欠かせません。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)
対中関税・貿易政策の動向と実経済への波及
現在米国の平均関税率は12~13%(GDP比約1.6%)と高い水準にあるものの、過度な急変がなければ経済への悪影響は限定的との見方も出ています。トランプ前大統領時代の大幅関税引き上げと比べて、現在はやや落ち着きを取り戻していますが、貿易摩擦の再燃には引き続き警戒が必要です。関税コストはサプライチェーンや最終消費者にも転嫁されるため、慎重な政策判断が求められます。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)
米経済のファンダメンタルズ:消費・雇用・今後のリスクと展望
以上のように、米国経済のファンダメンタルズは労働市場の底堅さや消費の安定によって支えられている一方、FRBの金融引き締め姿勢、長期金利の高止まり、財政赤字や貿易政策の先行きなど複数のリスクも存在します。現時点では「景気後退はギリギリ回避する」との見通しが大勢ですが、政策不透明感や地政学リスクを注視しながら、中長期的な資産形成や経済成長の持続可能性を見極めていく必要があります。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)