トランプ米大統領が、イランに対する「最大限の圧力」を緩和する用意を示唆した。政権1期目から続く中心的政策を後退させかねない今回の動きは、イランへの圧力を今こそ強化すべきだと主張する外交タカ派の間で驚きをもって受け止められた。
トランプ大統領は米軍の空爆がイランの核施設を「完全に破壊した」と主張し、空爆から数日後、「中国はイラン産原油の購入を今後も継続できる」とソーシャルメディアに投稿した。イラン産原油と石油化学製品のあらゆる購入を「今すぐやめるべきだ!」と訴えていた5月時点からの劇的な転換と言える。
オランダで今週開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、イランは「国を立て直す資金が必要」だろうと語った。トランプ氏は「彼らは原油を売るつもりなら売るだろう」と述べ、イランの原油輸出を完全に抑え込むため、自らの政権が導入した政策を軽視するかのような発言を行った。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)で中東のジオエコノミクス(地経学)分析を担当するディナ・エスファンディアリ氏は、トランプ氏は制裁緩和が「大きなアメ」になると期待し、イランとの新たな協議を探っている可能性があると分析した。
1期目のトランプ政権は、オバマ政権下で米英独仏中ロの6カ国とイランとの間で2015年に締結された核合意から離脱し、より強硬なアプローチに転じた。2期目に入ると政権発足の数週間後に大統領覚書に署名し、イランに「最大限の圧力」を課す方針を復活させた。
NATO首脳会議の記者会見で発言するトランプ米大統領(6月25日)
Photographer: Simon Wohlfahrt/Bloomberg 第三者のデータによれば、中国は引き続きイラン産原油の最大の輸入国であり、制裁回避のため、一部はマレーシアなどから輸出されたように偽装されている。
米保守系シンクタンク、ハドソン研究所の中東平和安全保障センターで上級研究員を務めるジネブ・リブア氏は、イランの原油取引制限の緩和を警戒し、中国による購入が間接的にイランの軍備増強や代理勢力の資金源になると警告した。
それでもリブア氏は、トランプ氏の発言が政策転換を示唆するものでなく、原油価格の高騰を防ぐ狙いから、エネルギー市場に計算ずくのシグナルを発したと考えている。
リブア氏は「彼は予測不能な人物であり、中国もイランも彼が関係を改善しようとしているわけではないと十分承知している」と指摘した。
原題:
Trump’s Iran Oil Comments Strain His ‘Maximum Pressure’ Policy(抜粋)
(エコノミストの見解などを追加して更新します)






