
昨日の米国経済ニュースから気になったものを紹介します。AIやデータセンターの旺盛な電力需要、地政学リスクに揺れるエネルギー市場、巨大M&Aのうわさ、仮想通貨と規制など、幅広い分野で動きが見られました。それぞれのトピックが株式市場の動きや今後の経済構造にも影響を与えており、各分野での定量的指標や根拠も踏まえて整理します。
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2025/06/27 データセンター電力需要が推進する米インフラ企業の成長
AIおよびデータセンター向けの電力需要が急増する中、米クアンタ・サービス(Quanta Services)は過去5年で株価が870%近く上昇する大躍進を遂げました。主力の電力インフラ、再生可能エネルギー事業に加え、テクノロジー・インフラへの統合投資が進んでいます。電力部門が2024年には売上の47.2%、再生エネは33.1%を占め、過去4四半期の平均売上成長率は16%、利益成長率は26.5%を記録。特に注目されているのがテキサスでの電力網投資で、数百億ドル規模の案件も射程圏です。S&Pグローバルも格付を引き上げ、安定した収益基盤と成長余地が評価されています。
(出典:How AI Has Helped Power This IBD 50 Stock's 830% Rally)
2025/06/27 米中レアアース摩擦緩和とコモディティ市場の変動
米中貿易協議の再始動により、中国がレアアース(希土類)磁石の輸出規制を緩和、これを受けてMPマテリアルズの株価は下落。一方でS&P500は史上最高値を更新しました。軍事用途は依然として規制対象ですが、自動車・ロボットなど産業用サプライチェーンの安定化が期待され、市場は連邦政府の国内レアアース支援策強化を織り込みつつあります。また、FCX(フリーポート・マクモラン)は銅価格の反発や対中関税強化期待から上昇しており、コモディティ市場全体も米中交渉・関税政策によって変動性が高まっています。
(出典:Beijing Lifts Rare-Earth Curbs; MP Materials Dives As S&P 500 Sails)
2025/06/25 エネルギー業界再編へ?シェルとBPの大型M&A報道
エネルギー市場では、シェルとBPが総額800億ドル規模の合併交渉を進めているとの報道を受け、BP株が一時10%超上昇しました。もし実現すればエクソン・モービルとモービルの1990年代の史上最大級の統合以来となります。米石油大手も他に大型買収を進めており、資源価格の変動や中東地政学リスク、再エネ投資などを背景に、業界構造のダイナミックな転換が予感されます。ただし、両社とも株価変動も大きく、実際のM&A成立には時間とハードルが残る見通しです。
(出典:BP Stock Takes Off On Possibility Of Largest Deal Since The Exxon Mobil Merger)
2025/06/24 仮想通貨市場と規制の進展:コインベースと安定コイン法案
イスラエルとイランの停戦や『Genius Act』安定コイン規制法案の可決を契機に、コインベース株が12%急騰しました。同社はS&P500への新規採用も進み、暗号資産市場への制度的な追い風が強まっています。ビットコインは今年最高値11万ドル台も記録。SECによる規制が今後大きく転換する可能性も示唆されています。また、従来の証券規制から分離したデジタル資産独自ルールや新設タスクフォースの設置など、米政府の動きも仮想通貨市場のボラティリティに直結しています。
(出典:Coinbase Soars On Stablecoin Hopes After U.S-Iran Ceasefire News: Is Coin Stock A Buy Or Sell Now?)
2025/06/22 ホルムズ海峡リスクとエネルギー価格:地政学リスク再燃
イラン議会がホルムズ海峡閉鎖を承認し、中東情勢を巡る地政学リスクが高まっています。この海峡は全世界の原油の15%、LNGの20%が通過し、万が一実際の閉鎖や流通妨害が起きれば、原油価格が1バレルあたり$120超、天然ガスも20%高を記録するとの分析も。現時点では実際の海上封鎖までには至っていませんが、電子妨害、航行障害といった新手のリスクも増大。主要石油・ガス株や輸送株にとって価格動向や供給リスクの見通しは極めて重要な局面です。
(出典:Strait of Hormuz: Iran Considers Closing Oil Chokepoint. Which Stocks To Watch Monday.)