
昨日の米国経済ニュースから気になったものを紹介します。2025年後半に向けて、FRBは利下げペースを鈍化させる意向を示し、S&P500やナスダックは高値圏で推移しています。一方で、トランプ政権による関税と中東情勢の緊迫化が市場の不安定要因となっています。金や暗号資産といった代替資産は好調で、米中関係や世界経済の成長鈍化も注視されています。住宅やエネルギーなど一部セクターの厳しさ、そして長期的な市場の持続力—政策と経済指標を交えつつ、米国経済の現在地を解説します。
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2025/06/18 FRBは利下げペースを減速へ――インフレ・雇用に慎重姿勢
米連邦準備制度理事会は最新会合で、2025年の利下げ回数を年1回に減らす方針を示しました。3月時点の2回から下方修正され、インフレ再燃や中東情勢、特に原油高への警戒が高まっています。政策委員会では、「タリフ(関税)ショック」が実体経済へ渉る影響を見極めるため、多くのメンバーが慎重な緩和姿勢を維持しているのです。労働市場については、5月非農業部門新規雇用者数は139,000人増、3-4月分は下方修正されつつも全体として底堅い印象で、失業率の急上昇がなければ当面大幅な金融緩和に踏み切る可能性は低いとみられます。市場も当面は据え置きを織り込んでいる状況で、好調な雇用と高止まりするインフレの双方をにらむ政策運営が続きそうです。(出典:Fed Meeting: Hawkish Shift Likely Amid This New Concern)
2025/06/18 2025年後半の米株は“強含み”—波乱の春から回復へ
2025年前半は乱高下が続きましたが、主要株価指数は4月に底を打って反発し、ナスダックは年初来1.1%高、S&P500は1.7%高、ダウ平均もほぼ横ばいに戻しています。ブル派・ベテラン経済学者エド・ヤルデニ氏はS&P500年末目標を6,500pt(現在比+7.5%想定)とするなど、先行きにはプラス材料が多いと指摘しています。一方、OECDは2025年米GDP成長率を1.6%と慎重な見通しも示し、金価格の高騰やドル安が投資家心理に不安も与えています。IT、ヘルスケア、通信は好決算期待が高く、エネルギーは2025年▲13%の減益見込みです。一時は米中関税や地政学リスクで売られる展開もありましたが、足元では落ち着きを取り戻しつつあります。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)
2025/06/18 トランプ政権の関税政策と中東の緊張—市場の“壁”とリスク分散
トランプ大統領は各国からの輸入品に新たな関税を課す案を示し一時的に貿易摩擦と市場混乱が拡大しましたが、現状の平均関税率は12~13%とやや落ち着いた水準です。今後も交渉次第で関税率が上下する不確実性や、対イラン政策をめぐる中東リスク(イスラエル・イラン衝突への米軍関与含む)が根強い波乱要素となっています。輸送費や原材料コストを通じてインフレ圧力が残る一方、政策対応次第で再びエクイティ市場に大きな調整が起きる可能性も意識する必要があります。投資家はセクター分散と経済指標の動向に注意が求められます。(出典:Dow Jones Futures Rise Ahead Of Fed Chief Powell; Trump Mulls Iran Decision)
2025/06/18 金・暗号資産の上昇—株と異なる値動きでリスク回避に脚光
2025年は金・銀・銅などコモディティが軒並み上昇し、金は年初来で最大33%高、ドル建てで一時3,500ドル台に到達する場面もありました。ビットコインも11%高、米国発のステーブルコイン「サークル・インターネット」も新規上場で爆騰しました。これは株式や国債の不安定化にともなう“リスク回避”資産への資金流入が背景です。一方で原油は一時的な反発後も弱含みが続き、エネルギー企業の業績が苦戦している分野もみられます。今後も政策・地政学リスクが高い局面では、代替資産への着目が続きそうです。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)
2025/06/18 雇用・消費と中長期展望—市場の持続力と政策のカギ
5月の米雇用統計は139,000人の増加と、予想を上回る底堅さを見せました。消費も堅調で、リセッション(景気後退)の回避が視野入りしています。過去の市場動向を見ても、短期的な急落後には反発が見られることが多く、2025年4~5月のような大幅な下落の後には“18%以上の急反発”が現れやすい傾向があります。ただし、業種間でばらつきが大きく、エネルギー、住宅関連は苦戦。一方でIT・ヘルスケアは好業績が続いています。通貨・金利・財政政策の運営次第で今後も市場は大きく変動する可能性があり、引き続きマクロ政策の動向とグローバルなリスク分散がカギとなります。(出典:What Will Markets Bring In The Last Half Of 2025? Here Are A Few Clues.)