保険監督者国際機構(IAIS)の執行委員会議長を務める有泉秀氏は、自然災害による経済損失が増大する中で、損失額のうち保険で補償されなかった部分である「プロテクションギャップ」を縮小するには、保険セクターを超えた官民での連携が重要との認識を示した。
「プロテクションギャップが非常に拡大しつつあり、保険を基礎とした解決方法だけではなかなか問題を解決しきれないことがある」と、16日に行ったブルームバーグとのインタビューで述べた。南アフリカ・ジンバリで17-18日に開催される20主要国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて開かれるプロテクションギャップをテーマとしたサイドイベントを前に発言した。同イベントには、世界銀行のバンガ総裁や加藤財務相も出席する。
スイス再保険研究所によると、今年の
自然災害による保険損害額は4月時点の推計で1450億ドル(約21兆5800億円)に達する可能性がある。これは過去10年の平均を大きく上回る水準だ。背景には、人口増加や都市のスプロール化(無秩序な拡大)、気候変動などの要因が重なり、リスクが増幅していることがある。
インタビューに応じた有泉氏(16日)
Photographer: Erica Yokoyama/Bloomberg 有泉氏は損失が増大する中で、保険業界は規制・監督当局だけではなく、幅広い政策当局者や学術界、消費者にも働きかけて「一緒にこの問題をどう解決していくかということが必要になってくると思う」と語った。
その上で同氏は、多様な官民連携の形があり得ると指摘。例えば、自然災害によるプロテクションギャップに対処する上で、民間金融機関がリスクを取り切れないと判断される場合には、公的部門が一定のリスクを引き受けることも考えられると述べた。
また、事前に決めた条件に基づいて保険金を自動的に支払う「パラメトリック保険」など新たな類型の保険商品の開発や、「カタストロフィー債(CAT債)」の活用が進むよう、監督当局が環境整備を促進すべきだと述べた。
有泉氏は保険会社がリスクを取りにくくなっている現状を踏まえ、リスクの一部を市場に移転することも解決策になり得ると述べた。その上で、CAT債を巡っては債券投資家への丁寧な情報開示の重要性を強調した。
近年のG20会合では、ブラジルや南アなどの国々から気候変動対策への支援を先進国に求める声が上がっている。だが、トランプ大統領は「パリ協定」や「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」からの離脱を表明するなど、国際的な気候変動の枠組みには否定的で、米国がどのように関与するかは不透明だ。もっとも、米国も今年、カリフォルニア州の山火事やテキサス州の洪水といった深刻な災害に見舞われている。
有泉氏はプロテクションギャップ拡大について「先進国だけではなく新興国を含めたグローバルな問題だ」とし、「レスポンスもグローバルでなくてはならない」と述べた。
原題:
Insurance Group Seeks Collaboration to Cover Disaster Losses (1)(抜粋)





