ベッセント米財務長官、大統領の謙虚な助言者を自認-インタビュー
記事を要約すると以下のとおり。
トランプ米大統領が「解放の日」と呼ぶ広範な関税措置を発表した4月2日から4日後の日曜日、フロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」から首都ワシントンに向かうトランプ氏の帰路、ベッセント財務長官は大統領専用機に同乗していた。「経済的な核の冬」が差し迫っていると警鐘を鳴らした。ウォール街にとって、ベッセント氏は語った。「仮に「これが数字だ。」しかし、トランプ氏はベッセント氏に指示。「交渉に応じるつもりがあるとは、絶対に言うな」と話したという。 ベッセント氏はホワイトハウスの外で記者団に対し、トランプ氏が方針を貫いたのは「非常に勇気ある」決断だったと称賛。関連記事:ベッセント氏、一躍ウォール街の「時の人」に-日本などと関税交渉主導 こうした臆測を背景に、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のコラムニストが「TACO(TrumpAlwaysChickensOut、トランプはいつも尻込みする)」との造語を考案した経緯がある。 このエピソードは、トランプ政権2期目の意思決定がどのように行われているのかを浮き彫りにする。「自分の仕事は選択肢と結果を提示し、それを伝えた上で、表現の仕方を管理することだ」と説明した。「20カ国・地域(G20)で交渉するにせよ、貿易協定の交渉や議会との交渉にせよ、大統領を代表して発言していることを理解していなければならない」と、トランプ政権1期目で財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン氏は語る。トランプ氏との関係を語り、自身の経済哲学を説明し、財務長官指名承認のための上院公聴会(1月16日)Photographer:AlDrago/Bloomberg 2時間にわたるインタビューで、政権が財政赤字の削減と国債利回りの引き下げに「レーザーのように集中する」と約束したにもかかわらず、実現できずにいることについては、ベッセント氏はトランプ氏が「解放の日」の関税措置の一部を見直すなどした決定だけでなく、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任するという、脅しの実行を今のところ思いとどまるよう助言していることにも功績があるとされる。大統領代表団の一員として大阪・関西万博のイベントに臨んだベッセント氏は日本から帰国し、中国側との3回目の通商協議のため、ストックホルム訪問を控えているタイミングだった。国債の発行や税収の管理、社会保障給付、金融規制、対外投資の審査、経済制裁といった標準的なポートフォリオに加え、ベッセント氏は日本や中国、その他のアジア諸国との通商交渉を主導し、これまでに四つの2国間合意をまとめている。同氏がこれほど大きな役割を担っている背景にはアジア、特に日本に対する深い知見がある。トランプ氏がベッセント氏に課した課題の一つには、1兆7000億ドル(約252兆円)に上る米政府の学生ローン資産の見直しも含まれ、これは米国のバランスシート上で最大の資産となっている。関連記事:米大型減税・歳出法案、トランプ大統領の署名で成立-政治的勝利に ベッセント氏は、パウエル議長の後任に自らが就く意思はないとしつつも、新たな議長選出プロセスを主導している。「彼がいかにうまく政治環境を乗りこなしているかには感心している」と、ベッセント氏は記者団に語った。 複数の元米通商当局者は、根本的な問題の幅広さと複雑さを踏まえると、最終合意には数年を要する可能性があると指摘する。 最終的には為替市場こそが、米国が国際金融システムに対して比類なき支配力を持っていることを深く理解している。「なぜロシア、中国、イランがドル決済システムから離れようとするのか。」 ベッセント氏は既に、自らの「レガシー」について考えている。だが、もっと大きな目標を持ち、自分の痕跡を残すこともできると話す。 「グリーンランドを買ってみようかとも、ベッセント氏はほほ笑みながら語った。」
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース ベッセント米財務長官、大統領の謙虚な助言者を自認-インタビュー