多くのプライベートクレジット運用会社にとって、わずか数年前まではほとんど考えられなかったことが現実になりつつある。ポートフォリオの価値を毎月更新するという取り組みだ。
そもそも、非公開性こそが同市場の魅力の一つだった。公開市場のような価格変動がないため、ファンドマネジャーは景気循環を気にせず長期的な視点で運用でき、急激な波乱にも耐えられるとされていた。
しかし、1兆7000億ドル(約260兆円)規模のプライベートクレジット市場が、今や個人投資家マネーという新たな巨大資金源を取り込もうとする中、業界は従来の「秘密主義」をある程度緩める価値があると判断し始めている。
運用各社は個人投資家が月次あるいは日次(にちじ)で参加できる新しいファンドを相次いで立ち上げている。こうした取引の価格を設定するには、ファンドの純資産価値(NAV)を算出する必要があり、シンジケートローン指数を参照したり、借り手企業に頻繁な財務データの提供を求めたりしている。
業界大手の第3者評価機関である
リンカーン・インターナショナルの米国ポートフォリオ評価責任者、ブライアン・ガーフィールド氏は「四半期ごとよりも頻繁に評価を行う案件が急増している」と指摘する。「NAVが日次や月次、四半期ごとに算出される場合、評価の頻度もそれに合わせて高まる」と述べた。
もっとも、評価頻度を上げたからといって市場に完全な透明性がもたらされるわけではない。NAVの変動が市場全体の動きによるものなのか、個別ローンのパフォーマンスによるものなのか投資家が判断するのは依然として難しい。個別ローンの評価は今も四半期単位で公表されるのが一般的なためだ。
それでも、これまで四半期単位でしか資産価値を更新してこなかった市場にとって、大きな転換点となる。
フーリハン・ローキーで米国ポートフォリオ評価共同責任者を務めるリティック・チャクラバルティ氏は、5年前ですら、ダイレクトレンディング投資を月次で評価するのは例外的なケースだったと話す。今や同社のダイレクトレンディング顧客の約20%が月次評価を求めているという。
「リテール向け商品を扱うなら、情報が出るたびにそれをより迅速に反映させる必要がある」と同氏は語った。
米投資銀行ロバート・A・スタンガーのリポートによると、インターバルファンドの資金調達額は7-9月(第3四半期)時点で約1230億ドルに達し、前期比で9.4%増加した。このうちおよそ3分の2が債務および債券関連に充てられている。
「現時点で当社ポートフォリオの100%が、毎月第3者による評価を受けている」と語るのはフィデリティ・インベストメンツのマネジングディレクター、テレーズ・アイカス氏だ。評価はパフォーマンスに基づいて行われていると、先週カリフォルニア州ビバリーヒルズで開かれた会議で説明した。さらに、フィデリティでは多くの借り手企業から月次で財務情報を受け取っており、「当社のNAVに遅れは生じていない」と付け加えた。
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原題:
Private Credit Begins Sacrificing Secrecy to Draw in Retail Cash(抜粋)
— 取材協力 Davide Scigliuzzo, Rene Ismail and Kat Hidalgo





